遺伝子は、進化の過程で重要な役割を果たしています。
生物の多様性は既存遺伝子改良だけでなく、新しい遺伝子の進化も重要です。
そこには、「遺伝子ファミリー」が深く関わっているので、その知識についてまとめます。
遺伝子ファミリー(Gene family)とは
遺伝子ファミリー(Gene family)とは、進化の過程で共通の祖先遺伝子から派生した類似遺伝子の集まりです。
祖先遺伝子由来の相同遺伝子(ホモログ:homologue)、遺伝子重複によって生じた側系遺伝子(パラログ:paralogs)、種分化の際に分岐した直系遺伝子(オーソログ:orthologs)が含まれます。
ある機能・形質を発現する遺伝子が1つしかない場合適応度が低下してしまうが、コピーが多くある場合安定します。
不等交差や遺伝子変換によって、ファミリー内の遺伝子間で配列が揃うよう進化する現象「協調進化(Concerted Evolution)」が観察されます。
遺伝子ファミリーは、遺伝子重複などのプロセスにより元の遺伝子から新しい遺伝子が生じて拡大し、偽遺伝子化やゲノムからの消失によって減少します。
遺伝子重複
遺伝子重複(gene duplication)は、遺伝子の一部領域・全部が重複する現象です。
遺伝子重複によって生じた二つの遺伝子はパラログと呼ばれ、
遺伝子重複が起こる原因として以下のことが示されています。
- 遺伝的組換えの異常
- レトロトランスポゾンの転移
- 染色体全体の重複
- 染色体の交差
- ゲノム全体の重複
遺伝子が重複することが進化の原動力となるとされています。
遺伝子ファミリーの発達
共通の祖先遺伝子である「遺伝子ファミリー」が拡大することで、いくつかの遺伝子族が発生します。
拡大していくと、相同性が高い「多重遺伝子族(Multigene family)」、さらに大きな遺伝子の集合「スーパーファミリー(Superfamily)」となっていくのです。
遺伝子族は情報と遺伝子変動の大きな単位で、進化・多様性の大きな役割を担います。
遺伝子ファミリーの例
遺伝子ファミリーの例として、ヘモグロビン遺伝子ファミリーが取り上げられます。
異なる染色体に2つの族(α-グロビン遺伝子座とβ-グロビン遺伝子座)と10個の遺伝子が存在しています。
遺伝子ファミリーの拡大で、ミオグロビンの遺伝子とヘモグロビンのα鎖遺伝子のように新しい機能を獲得できています。
他にも、抗体や細胞表面受容体として重要な役割を果たす「免疫グロブリンファミリー」、哺乳類最大の遺伝子ファミリー「嗅覚受容体ファミリー」が、遺伝子ファミリーの例として挙げられます。
まとめ
遺伝子ファミリーについてまとめました。
遺伝子ファミリー(Gene Family)とは、共通の祖先遺伝子から派生した類似遺伝子の集合体です。
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