SDGsのゴール14「海の豊かさを守ろう」・15「陸の豊かさも守ろう」などにおいて、生物多様性・生態系について言及されています。
しかし令和4年度の内閣府の「生物多様性に関する世論調査」では、「生物多様性の言葉の意味を知っていた」と答えた者の割合が29.4%のみでした。
学校で生物多様性・生態系について学ぶ機会があった18~29歳は、「生物多様性の言葉の意味を知っていた」と答えた者の割合が1番高かったが、47.8%と半数にも満たない結果です。
この状況を是正して子ども達に生物多様性・生態系ひいてはSDGSの理解を深めてもらうには、学校での教育では足らず家庭での教育が必要不可欠です。
子どもと生物多様性・生態系を勉強するために、わかりやすく簡単に使える教材として、
- 書籍(絵本・児童図書・図鑑・専門書)
- 映像メディア(テレビ番組・映画・YouTube)
- ゲーム(テレビゲーム・カードゲーム)
を紹介します。
子どもだけでなく、家族一緒に学んでいただければ幸いです。
目次
書籍
「絵本・児童図書・図鑑・専門書」の書籍を用いて、生物多様性・生態系について学ぶことができます。
図書館を利用すれば費用もかかりませんし、紹介する本以外にも良い出会いがあるかもしれませんので、ぜひ試しに利用してみてください。
絵本・児童図書・図鑑として以下のものがおすすめです。
【生物多様性・生態系の学習におすすめな絵本】
- 生きものいっぱい ゆたかなちきゅう
- いのちのつながり
- ちきゅうがウンチだらけにならないわけ
- たべることはつながること
- 土をつくる生きものたち・森を育てる生きものたち
【生物多様性・生態系の学習におすすめな児童図書】
- 日本らしい自然と多様性-身近な環境から考える
- 川は生きている・道は生きている・森は生きている・お米は生きている・海は生きている
- 学校勝ちぬき戦 実験対決35 「生態系と環境の対決」
【生物多様性・生態系の学習におすすめな図鑑】
- いきもの図鑑えほん
- はじめてのずかん みぢかないきもの (講談社の動く図鑑MOVE)
- 田んぼの生き物図鑑
- プラネットアース イラストで学ぶ生態系のしくみ
絵本・児童図書・図鑑の詳細については、下記記事をご参照ください。
絵本・児童図書・図鑑で知識がある程度ついてきた場合、子ども向けでは物足りなくなることがあります。
様子を見ながら、高校生・大学生の入門書として書かれた専門書を読ませても良いでしょう。
おすすめとして以下のような専門書を紹介します。
【生物多様性・生態系の学習におすすめな専門書】
- 『生態学入門 第2版』:大学でも使われる入門書
- 『カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書 第5巻 生態学』:BLUEBACKの確かなブランド
- 『キャンベル生物学 第11版』:国際生物学オリンピックの推薦図書
- 『プラネットアース: イラストで学ぶ生態系のしくみ』:可愛いイラストで楽しく学べる
専門書の詳細については、下記記事でまとめていますのでご参照ください。
映像メディア
映像メディアは、家族みんなで視聴できるので、エンタメを楽しみながら勉強感が少なく学習できます。
字が読めなくても、難しい漢字が分からなくても、映像が理解を助けてくれます。
「テレビ番組」「映画」「YouTube」を用いて、生物多様性・生態系について学ぶことができます。
テレビ番組
テレビ番組は、プロの作家・映像制作が作っているので、正確な知識・情報を学べる映像メディアです。
一般的に公開されているものであれば極端に意見の偏った内容もないので、親のチェックなしでも安心して子どもに見せることができます。
おすすめしたいテレビ番組として以下のものが挙げられます。
【生物多様性・生態系の学習におすすめなテレビ番組】
- しまじろうのわお!
- ダーウィンが来た・ワイルドライフ
- ザ!鉄腕!DASH!!
しまじろうのわお!
『しまじろうのわお!』は、テレビ東京系列6局ネットで毎週土曜日08:30~09:00にて放送されているテレビ番組です。
こどもちゃれんじに出てくるしまじろう達を中心とした教育コンテツ・コーナーがたくさんあります。
「でかけよう。せかいは そとが おもしろい!」と、もっと自分の外の世界に踏み出すことをキャッチフレーズに刷新され、実写による教育的なコーナーが豊富です。
自然に関するコーナーとして
- のうぎょうのわお
- うみのわお
- せいぶつたようせいのわお
- わおの研究所
など、どんどんコンテンツが増えています。
YouTube公式アカウントにて過去話の無料配信・会員限定のこどもちゃれんじTVなど、テレビ以外でも視聴する方法が多くあります。
しまじろうに興味を持つと、【こどもちゃれんじ】・【進研ゼミ小学講座】などの学習教材を導入しやすいのでおすすめです。
ダーウィンが来た・ワイルドライフ
『ダーウィンが来た』は、NHK総合テレビジョンで毎週日曜19:30~20:00にて放送されているドキュメンタリー番組です。
最新の撮影器具を駆使した迫力映像で、生き物の素晴らしさを伝えています。
NHKが独自取材した映像・英BBCなど海外のテレビ局が作成した映像を使っており、世界初の映像などの貴重な映像資料が豊富です。
「ヒゲじい」というマスコットキャラクターが、割り込んで質問・解説の場を提供してくれるので、ドキュメンタリーを楽しみながらもしっかり学習できます。
同様な番組として、NHK BSプレミアム・NHK総合テレビジョンで放送されている『ワイルドライフ』があります。
こちらはBS4kにも対応している高解像の迫力ある映像が楽しめます。
低年齢向けに制作されているものではないので、自然のありのままの映像が子どもによっては刺激の強すぎる映像があることもあるので、視聴には少し注意が必要です。
ザ!鉄腕!DASH!!
引用:日テレHP
『ザ!鉄腕!DASH!!』は、日本テレビ系列で毎週日曜19:00~19:58にて放送されているバラエティ番組です。
生物多様性・生態系の学習におすすめな企画がいっぱいあります。
- DASH海岸:東京湾内の工業地帯にある入り江の再生
- 新宿DASH:東京富士大学の屋上に畑やビオトープ作成
- グリル厄介:環境の脅威になる生物を食糧としての活用法を示すことで在来種保護
生物調査・生態工学を用いた保全方法などを調査者や施工者の目線で知ることができます。
映画
映画は、テレビ番組以上の美しい映像・音響を感じることができる映像メディアです。
映画館によっては、子どもが見やすいように子連れ専用上映をしてくれるところもあるので、「暗いのを怖がりそう・声を出して迷惑をかけそう」と思っていても見れる機会があります。
映画館で見る以外にも、過去作品なら中古DVD購入・レンタル・VODで見れます。
安価に楽しむことができるので、中古DVD購入・レンタル・VODにあるものをおすすめします。
おすすめしたい映画として以下のものが挙げられます。
【生物多様性・生態系の学習におすすめな映画】
- ライフ いのちをつなぐ物語
- シーズンズ 2万年の地球旅行
- 地球の限界:“私たちの地球”の科学
ライフ いのちをつなぐ物語
『ライフ いのちをつなぐ物語』は、英BBC製作によるネイチャードキュメンタリーで、2011年に設立50周年を迎えたWWFが製作協力し、撮影日数3000日・総製作費35億円を投じた超大作です。
地球の全大陸に住む陸・海・空の多種多様な生物がそれぞれの命をつないでいく様子を、最新のカメラシステムを用いて動物と同じ目線で撮影し、生態の細部がよく分かります。
英BBC製作は以下のものがありどれも大好きでおすすめなのですが、生態系・生物多様性を学ぶなら『ライフ いのちをつなぐ物語』を推します。
- ディープ・ブルー:撮影に4年半もの歳月を費やし、200ヶ所ものロケ地をめぐって撮り上げた海洋ドキュメンタリー
- アース:北極から深海まで、厳しい自然の中で紡ぎ出す命のドラマを最新鋭の技術で捉え、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のフルオーケストラを用いたドキュメンタリー
- ネイチャー:「謎めいた森」「燃え盛る地下世界」「異国の砂」「灼熱の平原」「魅惑の海中都市」「凍てつく山脈」「荒れ狂う激流」という7つの自然の領域を4K3D映像で撮影したドキュメンタリー
- アース アメイジング・デイ:4K技術・超軽量カメラ・ドローンを駆使した「アース」の第2弾
シーズンズ 2万年の地球旅行
『シーズンズ 2万年の地球旅行』は、地球上における2万年の生命の歩みを題材に撮り上げたネイチャードキュメンタリーです。
世界初の無音小型バギーによる馬・オオカミと同じ目線で疾走するなど、野生動物の視点を最重視した映像が圧巻ですが、「人類はこれからいかに自然の共存共栄していくか」という強いメッセージが込められています。
ジャック・ペラン監督が手がけた作品として、『WATARIDORI』『オーシャンズ』が有名です。
地球の限界:“私たちの地球”の科学
『地球の限界:“私たちの地球”の科学(原題 Breaking Boundaries: The Science of Our Planet)』は、気候変動や温暖化についての最新の研究を分かりやすくまとめたNetflixオリジナルのドキュメンタリー映画です。
環境学者のヨハン・ロックストロームが、9つの分野(気候・大地・生物の多様性・淡水・栄養素・海洋酸性化・汚染物質・エアロゾル・オゾン層)について、人間が超えてはいけない限界値を定めていきます。
Netflixに加入していれば、見てみても損は無い内容だと思います。
生物多様性の問題に関わる包括的な情報を学ぶには最適な映画だと思いますが、小難しい話ばかりで苦手に思われる方もいるかもしれません。
YouTube
YouTubeはインターネット上で動画共有サービスで、プロ・アマ問わず幅広い製作者の動画が視聴できます。
スマホ・タブレット・スマートテレビなどで気軽に見れ、広告を挟みますが無料で視聴可能です。
専門性のある動画を見ることができる反面、テレビ番組・映画にあるチェック体制がないので極端に偏った意見・誤った内容が含まれることもあり、親のチェックなしでも安心して子どもに見せづらい一面があります。
紹介するYouTubeチャンネルはどれも素晴らしいチャンネルですが、子どもに見せても良いと判断したものに限って視聴させましょう。
【生物多様性・生態系の学習におすすめなYouTubeチャンネル】
- へんないきものチャンネル
- WoWキツネザルの地球を救うアカデミー
- 進化生物学ch【ゆっくり解説】
- ゆるふわ生物学
へんないきものチャンネル
へんないきものチャンネルは、登録者数37万人(2023年1月1日現在)を超える、へんな生き物や面白い動物について解説をする動画をアップしているチャンネルです。
日常生活では見られないようなユニークな動物の生態・歴史・獣害事件などをわかりやすく紹介・解説されています。
『キモイけど実はイイヤツなんです。』『カワイイけど実はアブナイヤツなんです。』の2冊の書籍を出版されています。
- YouTube:へんないきものチャンネル
- Twitter:@youko_rou
WoWキツネザルの地球を救うアカデミー
『WoWキツネザルの地球を救うアカデミー』は、環境問題・環境保全に興味がない人が地球を救うヒーローになるためのチャンネルです。
環境系エンターテイナーのWoWキツネザルが、地球を救うために必要な知識や新しい価値観を教えてくれます。
独特な格好でエンタメとしてとても楽しい内容になっているので、子どもが見やすい動画になっています。
- YouTube:WoWキツネザルの地球を救うアカデミー
- Twitter:@wowkitsunezaru_
進化生物学ch【ゆっくり解説】
『進化生物学ch【ゆっくり解説】』は、科学の世界では生物進化をどんな感じで研究しているのか、どんな研究があるのか、生き物の生態と一緒に解説しているチャンネルです。
進化学の理論など難しい話を、「ゆっくり解説」で説明しています。
ゆっくり解説は、softalk系の音声ソフト(ゆっくりボイス)を使って、分かりやすく解説する動画です。
機械音声に好き嫌いが出てしまいますが、専門的な内容が豊富でおすすめします。
- YouTube:進化生物学ch【ゆっくり解説】
- Twitter:@EvoecoCh
ゆるふわ生物学
『ゆるふわ生物学チャンネル』は、現役の生物学研究者や国際生物学オリンピックのメダリストといった生物学に特化したメンバー達が、生物学の真の楽しみ方を多くの人に伝えていくことを目的に、様々な企画をやっていくチャンネルです。
ゲームを通して生物学の面白さを伝えたり、最前線の研究者とコラボして最新情報を伝えたりしています。
ゆるふわと称する通り、解説しているメンバーがとても楽しそうなのが印象的です。
- YouTube:ゆるふわ生物学チャンネル
- Twitter:@ChannelYurufuwa
ゲーム
ゲームにも、生物多様性・生態系の学習ができるものがあります。
テレビゲームだけじゃなくカードゲーム・ボードゲームなどもあり、みんなで遊びながら学ぶことができます。
【生物多様性・生態系の学習におすすめなゲーム】
- あつまれ どうぶつの森
- Equilinox
- 生物多様性まんだらカードゲーム
- 生物学カードゲーム CELL ジェネリック
あつまれ どうぶつの森
『あつまれ どうぶつの森』は、NintendoSwitch用ゲームソフトでどうぶつの森シリーズの第7作目です。
どうぶつの森シリーズは、虫・魚などを採集したり化石を発掘したりすることができます。
採取することで図鑑が記載され、さらに博物館に寄贈することで館長のフータによる詳しい解説・実際に展示され動きが知れるなど、生態を詳しく知ることができます。
『あつまれ どうぶつの森』を題材に、「あつまれ どうぶつの森 島の生きもの図鑑 (講談社の動く図鑑MOVE)」が発売されています。
ゲームだとプレイ時間が子どもに与える時間が気になるところなので、図鑑と組み合わせることで楽しみながらプレイ時間をコントロールしましょう。
Equilinox
『Equilinox』は、動物や植物を配置して自分の思い通りの惑星を作ることができる生態系構築シミュレーションゲームです。
生態系全体のバランスを考えながら動植物を配置していかないと、生態系が簡単に崩壊してしまいます。
ゲームを通じて、栄養段階・食物連鎖などについて考えることができます。
参考ページ:「食物連鎖・栄養段階・生態ピラミッド」について
SteamでリリースされているのでPC・Steam Deckでのみプレイが可能な点は注意が必要です。
生物多様性まんだらカードゲーム
「生物多様性まんだらカードゲーム」は、私たちの暮らしと多様な生物たち、さらには自然界と私たちがどのようなつながりがあるのかを、ゲーム感覚で楽しみながら考えてみるためのカードゲームです。
公益社団法人日本環境教育フォーラム(JEEF : Japan Environmental Education Forum)が作成しており、印刷用はネットから無料でダウンロード可能です。
公式HPからデータをダウンロードし、A4サイズの厚めの紙に印刷・切り取ってお使いください。
所要時間は1時間~ 2時間、1グループ4名前後で実施できます。
生物学カードゲーム CELL ジェネリック
『生物学カードゲーム CELL ジェネリック』は、生物学の用語を網羅的に覚えることができるデッキ対戦カードゲームです。
互いのライフポイントを削り合い、先に相手のライフポイントを0にした方が勝利します。
各カードには108種類の生物学用語を擬人化したキャラクターイラストと、用語の学術的な解説が付いており、 遊びながら自然と生物学用語に触れることができます。
デッキは4つあります。
- 遺伝子工学デッキ
- 生態学デッキ
- 免疫学デッキ
- 微生物学デッキ
ダイソーで100円で売っており、安価にカードゲームを楽しめるので大変おすすめです。
まとめ
子どもと生物多様性・生態系を勉強するために、わかりやすく簡単に使える教材を紹介しました。
学校以外での環境教育に紹介しました「書籍・映像メディア・ゲーム」をご活用ください。