豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱の防疫対策は
- 異常豚発生の監視
- 異常豚発見時の初動対応
- 異常豚発見時の臨場検査
- 検体の送付
- 農場内の疫学情報の収集
- 検査判断前準備
- 検査判定(陽性判定)
- 陽性判定時の防疫措置
- 農場周辺の人の通行制限・通行遮断
- 農場周辺の豚等の移動制限・搬出制限
- 消毒ポイントの設営
- ウイルスの感染状況調査
- ワクチンの接種(豚コレラの場合)
の流れで実施されます。
今回、②異常豚発見時の初動対応についてまとめさせていただきます。
目次
豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱の異常豚発見時の初動対応について
異常豚が通常以上の頻度で発見されたと届出を受けた場合、都道府県は直ちに家畜防疫員を現地に派遣します。
農場から以下のものの移動を制限します。
- 生きた豚等、死んだ豚等
- 採取された精液、受精卵
- 排泄物
- 敷料
- 飼料
- 家畜飼育器具
また、農場への関係者以外の立ち入りを制限し、出入口で衣類・飼養器具を消毒します。
豚等の所有者からの届出による発見があった場合の初動対応
豚等の所有者からの届出による発見があった場合は、以下の対応を実施します。
- 豚を含むすべての動物・物資を農場外へ移動禁止
- 適切な消毒がされるまで農業外への排水を流出禁止
- 農場への出入り口を1つに限定し、関係者以外立入禁止
- 異常豚の排泄物・飼料を他の豚と接触禁止
獣医師からの届出による発見時の初動対応
獣医師からの届出による発見があった場合は、以下の対応を実施します。
- 家畜防疫員の到着まで待機し、ウイルス拡散防止を指導
- 異常豚が患畜と疑似患畜でないと判定されるまで、担当獣医師は飼養施設に立入禁止
- 陽性判定された場合、異常豚を診察した日から担当獣医師は7日間は飼養施設に立入禁止
家畜市場からの届出による発見時の初動対応
家畜市場からの届出による発見があった場合、以下の対応を実施します。
- 家畜市場から豚等を移動禁止
- 畜産関係車両の入場禁止・出場する車両の消毒
- 異常豚が患畜と疑似患畜でないと判定されるまで、車両は飼養施設に立入禁止
- 市場入場者(異常豚が発見されたときに家畜市場に入場していた者)が場外に移動する際には、身体・車両の消毒
- 異常豚が患畜と疑似患畜でないと判定されるまで、市場入場者は飼養施設に立入禁止
- 陽性判定された場合、入場した日から7日間は飼養施設に立入禁止
- 異常豚の所有者・出荷に使用した車両や運転手を特定し、消毒
- 異常豚が患畜と疑似患畜でないと判定されるまで、飼養施設に立入禁止
と畜場から届出による発見時の初動対応
と畜場からの届出による発見があった場合、以下の対応を実施します。
- 異常豚と同一農場から出荷された豚等のと畜中止
- 畜産関係車両の入場させず、出場する車両の消毒
- 異常豚が患畜と疑似患畜でないと判定されるまで、車両は飼養施設に立入禁止
- と畜場入場者(異常豚が発見されたときにと畜場に入場していた者)が場外に移動する際には、身体・車両の消毒
- 異常豚が患畜と疑似患畜でないと判定されるまで、と畜場入場者は飼養施設に立入禁止
- 陽性判定された場合、入場した日から7日間はと畜場入場者の飼養施設立入禁止
- 異常豚の所有者・出荷に使用した車両や運転手を特定し、消毒
- 異常豚が患畜と疑似患畜でないと判定されるまで、飼養施設に立入禁止
まとめ
【豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱】異常豚発見時の初動対応についてまとめました。
【豚コレラ(豚熱)・アフリカ豚熱】が実際に発生した場合の防疫措置については、下記記事にてまとめていますのでご参照ください。
参考文献等
文献
- 「豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」
- 「アフリカ豚コレラに関する特定家畜伝染病防疫指針」
- 「舛甚ら(2018)ロシア及び東欧諸国におけるアフリカ豚コレラ(ASF)発生とその現状について」 豚病研究会報72:1-7
- 「山田ら(2018)東欧強毒株を用いたアフリカ豚コレラウイルス感染実験について」豚病研究会報72:8-15
- 「アフリカ豚コレラの歴史とリスク分析」小澤義博(2014)獣医疫学雑誌
- 「アフリカ豚コレラの知識: 野外応用マニュアル」FAO Animal Health Manual No. 9
- 「アフリカ豚コレラ (ASF) の防疫要領策定マニュアル」FAO Animal Health Manual No. 11
HP
- アフリカ豚コレラについて(農林水産省HP)
- African Swine Fever(OIE)