研究のための重要なデータを収集するために、現地調査(フィールドワーク)をしています。
研究対象地によっては、致命的な危険と隣り合わせな場所で調査を行います。
調査者(フィールドワーカー)は、研究者・科学者・探検家・冒険家・登山家・写真家などの経験・知識を学んで、しっかり事前準備をすることで危険を避けなければなりません。
今回は雪山フィールドワーク時の「水分補給・水作り」についてまとめます。
雪山での水分補給の重要性
山は空気量が薄いので呼吸が速くなり、息を吐くたびで体は水分を奪われます。
さらに山中の風は平地の風よりも乾燥しており、汗をかくことで多くの水分が失われていく環境です。
そのため高所登山であれば、最低でも1日3~4Lの水分補給が必須になります。
『登山の運動生理学とトレーニング学』の著者である鹿屋体育大学の山本正嘉教授が以下の2式を提唱しており、登山に必要な水の量を求めることができます。
- 給水量(ml) = 脱水量 (ml)× 70~80%
- 脱水量(ml)=体重(kg)×行動時間(h:休憩時間を含む登山・トレッキングの合計時間)×5
70kgで8時間行動なら約2Lが通常登山で必要になってくるので、雪山ではそれよりも1.5~2倍である1日3~4L持っていくと安心できるでしょう。
雪山に慣れていれば行動日数分だけ積めば済む話ですが、雪山になれていない場合は行程が大きく遅れる、最悪の場合遭難するリスクも考えなければなりません。
そのため雪山の現地で水を確保できる術を知っておきましょう。
雪山での水の確保方法 ~水作り~
低山では雪解けの小川などから水を確保することができますが、高山ではそれを期待することができません。
水源は氷・雪に限られますが、雪・氷をそのまま口に入れると体から熱を奪い喉が渇くため、そのまま水分補給することは避けます。
氷・雪を溶かして、できる限り温めた水を摂取しましょう。
氷は空気を雪よりも含んでいないので、少ない加熱で多くの水を確保することができるので、氷を優先的に探します。
氷・雪を温めて水を作るために、以下の方法が考えられます。
【氷・雪からの水の作り方】
- コンロの火で溶かす
- 透明なボトルに入れて太陽光で溶かす
- 手で雪を握りしめるなど圧縮して溶かす
- 雪を防水性の袋に詰めて、衣服間に入れて体温で溶かす(最終手段)
生物がいなさそうな雪山でも雪・氷が微生物に汚染されている可能性があるので、煮沸して浄化するのが最優先ですが、残りの燃料の関係で選択しなくてはなりません。
汚染をできるだけ防ぐために、登山道などの人が汚染した可能性があるところから離れた場所で、押し固められて水分の多い地面に近いところで氷・雪を採取します。
まとめ
雪山フィールドワーク時の「水分補給・水作り」についてまとめました。
十分な準備をしてフィールドワークへ挑み、良い研究に繋げていきます。
事前準備として必要な知識の習得に用いた書籍をまとめました。
また、雪山に必要な装備についてまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。