農業は1年に1作しかできないものが多く、圧倒的に経験・知識が不足してしまいます。
農業に従事し続けるには、勉強し常に新しい知見を学ばねばなりません。
勉強方法として、業界セミナー・先進地訪問・普及員による指導などありますが、私は本・業界誌・論文などを用いて勉強することが好きです。
その一環として『農!黄金のスモールビジネス』を読みましたので、書評・要約のように綺麗に整理できていませんが、感想・勉強になった内容をまとめてみます。
目次
『農!黄金のスモールビジネス』とは?
読みやすさ | |
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専門性 | |
役立ち度 |
- 著者:杉山 経昌 (著)
- 出版社:築地書館
- 発売日:2006/9/13
- ページ数:288ページ
【目次】
- はじめに ゆっくり夕陽を眺めて暮らしたい
- 1章 まずは価値観の転換からはじまる
1 農業は”おいしい”業界です 真の自由を手に入れる、創造的ビジネス
2 経済規模最小で生きる 小さな経営に宝あり!
3 時給3000円以下の仕事はするな! 自分の値段は自分で決めてしまえ
4 自分の取り分はこうして増やす なぜ、「米」をつくってはいけないのか?
5 あなたを働きアリにさせる大きなワナ? JA(農協)とどう付き合うかで、すべてが決まる! - 2章 スギヤマ式スモールビジネスのコツ
1 スモールビジネスの極意 「ムリ」「ムラ」「ムダ」をはぶく
2 価格設定のコツを伝授します “6倍の価格設定”が適正!
3 つくって、直接売る。 サービス業のマインドは絶対必要
4 すべてのビジネスは情報産業 顧客管理のコツは引き算!
5 専門的で奥が深い! だから高収益! ”スギヤマ式”ぶどうのつくり方
6 いろいろなチャレンジが楽しい 趣味の作物づくりで一石多鳥 - 3章 人生で大切なことは農で学んだ1 夢を満たせる職業です! ”週休4日”で”上司もいない”田園生活
2 人間の本能に根差した生活を 太陽の恵みを回収しつくす
3 一七年間、お客さまが目の前で食べるのを見てきたが……本当の美味しさとはなんだろう?
4 作物栽培が教えてくれたメッセージ 弱々しいものほど繁栄する - 最後に~輪廻転生の発想で
- あとがき~妻への手紙「小さな生活」
- 知っておいて損はないカタカナ用語解説
- 付録 果樹園経営ConsoliPack~栽培技術から経営管理までの完全マニュアル
『農!黄金のスモールビジネス』は、20世紀型のビジネスモデルは「ムダ」と「ムリ」が多すぎるため、これからの「低コストビジネスモデル」としての農業を解説した本です。
週休4日、時給3000円の新しい生活の仕方が示されています。
『農で起業する!脱サラ農業のススメ』の続編であり、農業を楽しみながらも利益を出しつづける秘訣を公開されています。
『農!黄金のスモールビジネス』を読んで勉強になったこと
『農!黄金のスモールビジネス』では、小さな農業を考えているビジネスパーソンにとって成功術を解説するための好例が示されています。
スギヤマ式農業経営戦略・戦術は以下の通りです。
- 戦略①売上目標は小さく:安全な経営・自由な経営
→戦術①利益率の目標を高く
・「時給」を決めてしまう
・時間収益性の目標
・年間労働時間の目標
・作物ごとの生産性を吟味する
・複数の製品の柱でリスクを分散 - 戦略②すべてを数で把握:目に見える経営
→戦術②パソコンを活用
・すべての情報はPC上に
・労働時間を管理する(何をどれだけかかったか)
・経営情報データベースを構築 - 戦略③長短期事業計画を持つ:競合他社の一歩先を行く経営
→戦術③目標を決めてから動く
・「夢」を持って経営する
・研修費、研究費を惜しまない
・新しい計画はシミュレーションする
・5年後までの計画を毎年更新する - 戦略④個人経営:リスク最小経営・高効率経営
→戦術④「自家労働」で成り立つ経営を
・時間が余ってもアルバイトしない
・アルバイトは原則雇わない
・雇用で規模拡大しない - 戦略⑤お客様の笑顔を財産に:「お得意さん政策」で生き残る経営
→戦術⑤お客様を大切にする
・お客さまと話をたくさんする
・顧客管理システムを作る
・必要に応じ「対応マニュアル」をつくる
・お客さまとの一体化 私生活でも交流を
これを軸に本書は書かれており、重要だと思ったところを章ごとにまとめます。
1章 まずは価値観の転換からはじまる
スギヤマ式経営戦略として、「悠々自適、楽しい農業、小さい農業」です。
農家は、生活コストは想像以上に安く、想像以上に豊かな生活ができます。
サラリーマンから農業に転身すると、給与所得者から自営業者に変わるので、経費を使うことができる経済的自由が手に入ります。
青色専従者給与で配偶者に給与を支払うこともでき、経営を欲張って大きくしすぎる必要がありません。
自分の時給を自分で決めることができ、労働コストに見合った経営規模に合わせることができる「柔軟性のある小規模経営」です。
仕事の時間を半分にして、週休4日にすることで、赤字の農産物を辞めてムダを減らします。
そのためには、「経費を下げる・販売の効率を上げる」ことが重要です。
何を栽培するかを考えるにあたって、米作り・畜産はやっていけないと著者は決めています。
米作りは、労働生産性は悪くないが、機会等のピンハネが厳しく手元にほとんどお金が残りません。
また、畜産は国債市場への依存度が高すぎることがリスク要因として挙げられます。
2章 スギヤマ式スモールビジネスのコツ
従来の経営者が陥りやすい間違いとして、「できる限りがんばるの発想・補助金に頼る」です。
朝から晩まで必死に働いて、能力以上の面積をやろうとして、作物の管理に「ムリ」が出て、栽培の管理に「ムラ」が出てきて、作ったものも完全に売り切れないでたくさんの「ムダ」を出してしまいます。
スモールビジネスでは、この逆をやってみることで、自分たちの食べていける最小限度の面積で栽培し、丁寧に収穫して、丁寧に販売します。
ビジネスに活かせるアイデアを生み出す「非常識」の例が以下のように挙げられています。
- 百姓の美徳を疑え
- 除草剤いらずの除草
- トラクターで麦踏み
- つくる土地を選ばず
- 手間暇をかけてつくってみる
- 手塩にかけて育てた作物も気軽に捨てろ
農業で成功するためには、「経営管理:マーケティング:物作り=40%:40%:20%」です。
悠々自適な農業経営が楽しくて快適なのは、「ゆとり」ゆえの試行錯誤が何でもできることです。
3章 人生で大切なことは農で学んだ
会社勤めでは、会社の方針や業務などの時間的制約で、持てる夢にも限度があります。
会社人間では自分の時間を持ちにくいが、百姓になることで週休4日で上司もいない田舎生活を送ることでたくさん時間を持てます。
田舎生活において、重要なのは3つのネットワークです。
- 仕事の遂行するためのネットワーク
- 家庭生活を維持するためのネットワーク
- 余暇を楽しむための趣味・自己実現のネットワーク
『農!黄金のスモールビジネス』を読んで今後勉強すべきこと
『農!黄金のスモールビジネス』を読んで、農業でスマールビジネスを立ち上げる方法を学べました。
より深く知識をつけるために、同分野の農業事業立ち上げの本をもっと読み進めます。
本書の実践編である『農で起業!実践編』を読んでみます。
また、経営計画書についての理解は重要だと思うので、経営計画に重きを置かれた就農本である『就農は「経営計画」で9割決まる 農業に転職!』を読んでみます。
まとめ
『農!黄金のスモールビジネス』を書評・要約のようにまとまっていないかも知れませんが、感想・内容を紹介しました。
しかし、まだまだ勉強不足ですので、しっかり勉強していきます。
最新の農業情報を得るためには、本だと出版までのタイムラグがあるので、農業の専門雑誌を読むほうがおすすめです。
毎月購入すると結構コストがかかってしまうので、ネットで農業雑誌・家庭菜園誌が読み放の「楽天マガジン」がおすすめですので、利用してみてください。