農業は1年に1作しかできないものが多く、圧倒的に経験・知識が不足してしまいます。
農業に従事し続けるには、勉強し常に新しい知見を学ばねばなりません。
勉強方法として、業界セミナー・先進地訪問・普及員による指導などありますが、私は本・業界誌・論文などを用いて勉強することが好きです。
その一環として『資金300万円で農FIRE』を読みましたので、書評・要約のように綺麗に整理できていませんが、感想・勉強になった内容をまとめてみます。
目次
『資金300万円で農FIRE』とは?
読みやすさ | |
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専門性 | |
役立ち度 |
- 著者: 水上 篤(著)
- 出版社:かんき出版
- 発売日:2023/11/22
- ページ数:224ページ
【目次】
- はじめに
- 第1章 ニューヨークで学んだ「人生の豊かさ」
- 第2章 農FIRE とは何か?
- 第3章 農FIRE はじめの一歩
- 第4章 農FIRE 成功への8ステップ
- 第5章 収入を増やし、資産を形成する
- おわりに
『資金300万円で農FIRE』は、農業を基軸としたFIRE(Financial Independence, Retire Early)について学ぶことができる1冊です。
「農FIRE」とは、資産運用だけで暮らす生き方ではなく、「農業」を起点にして衣食住エネルギーを自分で生み出し、お金では買うことのできない土地の恵み、人々とのつながりなどたくさんの豊かさを享受できる状態のことです。
著者の水上篤は、2010年に農業生産法人株式会社hototoを設立し、「週末農業スクールhototo」・郷土料理店「完熟屋」・造形教室「きりんぐみ」などを経営する一方で、山梨県立大学の特任教授として大学講師もしています。
さらに、経済的にも精神的にも自由な生活を手に入れることができる「農FIRE」を多くの人にも実現して欲しいという思いから「農FIREスクール」を開講中です。
- HP:農業生産法人株式会社hototo
- X(旧Twitter):@hototomiz
『資金300万円で農FIRE』を読んで勉強になったこと
「農FIRE」は、資産収入と副業収入で経済的自立を図るサイドFIREの中でも、プライベートな時間確保に重きを置く「バリスタFIRE」・質素倹約をする「リーンFIRE」をかけ合わせたようなものです。
経済的な手法よりは、今まであった「半農半X」「田舎スローライフ」のように「忙しい現代をどう生きるのか」という精神性を学ぶことができます。
この農FIREについて、本書で重要だと思った箇所を章ごとにまとめます。
第1章 ニューヨークで学んだ「人生の豊かさ」
著者がニューヨークのラファエル・ヴィニオリ建築事務所で働く傍ら、自分の会社を作ってビジネスをしていたとき、億万長者が欲しがるものはお金では買えないものだと分かりました。
悠々自適に暮らす経済的自立(FIRE)が必要になりますが、「お金をどう稼ぐのか」「資産運用だけで暮らせるのか」という問題があります。
そこで、農業を通して支出を抑えることで、地方でのんびり楽をしてお金を稼ぎ、自分らしい時間を過ごす生き方を選択されました。
第2章 農FIRE とは何か?
農FIREは、「百姓=百の仕事ができる人」を目指し、農業をする傍ら資産運用をするのはもちろん、それ以外のこともできるマルチ人材になろうと意味が込められています。
家を建てたり、道具を作ったり、生活用品を作ったり、加工品を作ったり、流通経路を開拓したり、IOT・AIなどの最新テクノロジーを活用などが挙げられていました。
また、自分ではできないことは、仲間を集めて一緒にやること点は意外でした。
第3章 農FIRE はじめの一歩
いきなり引っ越すのはリスクがあるので、いくつかの土地を経験してから見極めが大事で、平日は今まで通りで週末の2日ぐらい地方に通ってみること推奨されています。
農FIREの準備として、情報収集をして事前に価値観の違いを感じ、拠点を決める前に住民と仲良くなることが目的です。
失敗しないように、「都心部から120分圏内」が勧められています。
題名にある「資金300万円」の内訳も記載されていました。
- 古民家家を買う:120~180万円(徐々に改築する予算別)
- ソーラーパネル(中古)などの設置:10万円
- 農機具・道具(中古):30万円
- 軽トラ(中古):10万円
エネルギーに関して危惧しており、ソーラーパネルを用いてできる限り自活することが記載されています。
第4章 農FIRE 成功への8ステップ
農FIREを実現するために、以下の8ステップを順に踏むことが勧められています。
- 毎週地方に通って情報収集する:OODAループの考え方
- 家や事業所を修理する技術を身につける:長期的にDIYが必要
- 投資を始める:自己投資・ビジネス投資・不動産投資・株式投資
- 事業を始める:最初は加工品がおすすめ
- ICTを利用して販路を拡大する:WEB3.0・D2Cを意識
- 人手に頼らず仕組みで管理する:IOT・ICTを活用
- 収入の4つの柱を持つ:スキル・農業・アルバイト・家賃
- 仲間を増やす:モノを通してコトを起こす
第5章 収入を増やし、資産を形成する
農FIREがある程度軌道に乗ったら、資産形成をして労働時間を減らして自分の楽しみや学びに使える時間を増やします。
貯蓄を投資に回して資産運用する方法は、堅実なVTI・VOOなどが勧めされていました。
お金を稼ぐのも大事ですが、有効に使ったり、人に騙さし取られたりしないように守ったりする方が何倍も難しいです。
最後に5つの鉄則が記載されています。
- 健康を害してまでお金集めない。死ねば終わり。
- お金の勝負はしない。大金をはたいても、それに見合ったリターンは保証されない。
- ポートフォリオを組んで、分配率を守った投資を行う。どこかに偏ってはいけない。
- 誰かに人生を預けない。自分の人生は最後まで自分でコントロールする。老後は自分で立って自分の人生をまっとうできる仕組みを作る。
- 感情に振り回されない。論理的に分析をしよう。
『資金300万円で農FIRE』を読んで今後勉強すべきこと
『資金300万円で農FIRE』は、農業を通して豊かなに生活する方法が学ぶことができました。
農業事業立ち上げについての具体的な内容は薄かったので、農業関連の起業書を読むと良いと思います。
観光農園での農業起業を成功し、観光農園をおすすめしている『最強の農起業!』を読むと良いです。
経営計画書についての理解は重要だと思うので、経営計画に重きを置かれた就農本である『就農は「経営計画」で9割決まる 農業に転職!』を読むのもおすすめです。
まとめ
『資金300万円で農FIRE』を書評・要約のようにまとまっていないかも知れませんが、感想・内容を紹介しました。
まだまだ勉強不足ですので、これらからもしっかり勉強していきます。
最新の農業情報を得るためには、本だと出版までのタイムラグがあるので、農業の専門雑誌を読むほうがおすすめです。
毎月購入すると結構コストがかかってしまうので、ネットで農業雑誌・家庭菜園誌が読み放の「楽天マガジン」がおすすめですので、利用してみてください。