カワバタモロコは、中部地方以西の広域(静岡県から岡山県、香川県から徳島県、福岡県
から佐賀県)に不連続に分布するコイ科の日本固有種です。
二次的自然環境内の限られた一部地域の農業用ため池・クリーク等に生息域が狭められており、生息地の保全が急務になります。
岐阜県輪之内町は町全体が輪中堤に囲まれた輪中の郷となっており、クリーク状の流れのゆるやかな水路が多いことから、このような生息場所を好むカワバタモロコの生息地となっています。
カワバタモロコの代表的な保全地である「たいしょう池」について紹介します。
カワバタモロコとは
カワバタモロコ(川端諸子)は、コイ科カワバタモロコ属に分類される1属1種で、学名はHemigrammocypris rasborellaです。
平野部の小川・浅い湖沼・ため池、用水路に生息し、水流のほとんどない水生植物が繁茂する場所を好みます。
隠れ家・繁殖場として植生が必要だということは東海農政局の調査(輪中の郷、岐阜県輪之内町におけるカワバタモロコの生息環境向上に向けて)で示されています。
生息地の減少・ブラックバスなどの外来種による捕食・販売目的の採取によって絶滅のおそれがあり、「環境省レッドデータブック絶滅危惧IB類(EN)」「特定第二種国内希少野生動植物種」に指定されています。
輪之内町において、平成21年度に『輪之内町カワバタモロコ保護条例』を制定し、保全活動に取り組んでいます。
カワバタモロコの保全については、環境省の「カワバタモロコの保全の手引き」を参照ください。
輪之内町カワバタモロコ保護条例について
カワバタモロコの生息をPRすると乱獲者の出現を招く可能性があるため、平成21年12月21日「輪之内町カワバタモロコ保護条例」の制定、平成21年12月22日、「輪之内町カワバタモロコ保護条例施行規則」が制定されました。
輪之内町カワバタモロコ保護条例第4条において「カワバタモロコの捕獲禁止」をしており、第6条において違反者に「5万円以下の過料に処する」ことを示しています。
また、輪之内町カワバタモロコ保護条例施行規則において、町内の学識・経験を有する者を「保護員」として5名以内設置することができます。
保護員の活動内容は以下の2つです。
- 生息状況の把握と保護対策に努める
- 無断乱獲者に対して保護の趣旨を説明・指導に当たり、場合によっては罰則に基づく過料の徴収事務を行う。
「たいしょう池」とは
たいしょう池は、輪之内町の最北端に位置する本戸輪中堤沿いにあり、公園化整備が行われていることから、散歩コースなど地域の憩いの場になっています。
カワバタモロコ以外にも、メダカ・オイカワなども生息が確認されています。
6,000株のあじさいや田んぼアートが見頃の毎年6月中旬ごろに、「輪之内町あじさいまつり」を実施しています。
「片目の魚 たいしょう池」という民話が残っているほど、古くからある池です。
「たいしょう池」の付帯施設
町史跡「中将姫と一本松」があり、慶福寺に中将姫の墓石が一基あるなど、中将姫にゆかりのある土地です。
そのため、国の天然記念物である「中将姫誓願桜」の接ぎ木の1本が、岐阜市中将姫誓願桜保存会より寄贈されています。
他に、施設内には休憩できる木の椅子・屋根付き自転車置場・トイレ・水飲み場が設置されています。
「たいしょう池」へのアクセス
- 所在地:〒503-0232 岐阜県輪之内町本戸
- 問い合わせ:輪之内町産業課
- アクセス
公共交通機関:名阪近鉄バス「中郷」バス停下車、徒歩約40分
車:名神高速道路「安八スマートインター」から約5分
「たいしょう池」の駐車場
駐車場は7台あり、比較的余裕をもって駐車できます。
まとめ
「たいしょう池」を紹介させていただきました。
カワバタモロコ観察に加えて、紫陽花や田んぼアートも楽しんでみてください。
輪之内町カワバタモロコ保護条例によって「カワバタモロコの捕獲禁止」されていますので、そこだけは注意しましょう。