コロナの外出自粛の影響から、メダカ飼育が1つのブームになり、庭でビオトープを楽しむ方が増えました。
私自身も駐車場の勾配を利用して「棚田式ビオトープ」を作っており、『自宅で湿地帯ビオトープ!生物多様性を守る水辺づくり』の企画である自宅で湿地帯ビオトープ大賞にて、DIY賞を頂くことができました。
駐車場で棚田を作ってみました。
テトラの既製品コンテナを活用して、極小スペースの傾斜地でもビオトープを楽しんでいます。#自宅で湿地帯ビオトープ大賞 pic.twitter.com/oWM7ThNkKJ
— おいも屋 (@nougyou_doboku) January 30, 2024
棚田式ビオトープで実際に飼育している水草の中でも、今回は「サギソウ(鷺草)」について育て方・増やし方を中心に、その魅力と管理のコツをお伝えします。
サギソウ(鷺草)とは
サギソウ(鷺草)は、白鷺を想起させる純白の花が特徴で、球根性ランの湿地性植物です。
学名はPecteilis radiata(Habenaria radiata Spr.)で、ラン科サギソウ属(ハベナリア属)に分類され、英名は「Egret flower」「White egret orchid」で表記されます。
本州・四国・九州の低湿地に広く自生していたが、開発の影響・採集圧などの影響により自生地が減少し、現在は環境省準絶滅危惧(NT)の指定種です。
夏の季語であり、花言葉は「清純」「繊細」「夢でもあなたを想う」「神秘的な愛」「芯の強さ」です。
サギソウの唇弁
神戸大学大学院理学研究科の末次健司准教授・阿部裕亮氏、姫路市立手柄山温室植物園の朝井健史氏・松本修二氏、大阪市立自然史博物館の長谷川匡弘氏からなる研究グループは、唇弁にみられるギザギザ形状の適応的意義を明らかにすべく、「自生地におけるギザギザの切除実験」と「花粉を運んでくれる昆虫の詳細な行動観察」を3年間実施しました
その結果、ギザギザを切除した個体は切除しなかった個体と比べ、「果実1個あたりの健全な種子数が低下」「花粉の運び手であるスズメガが花びらに脚をかけることができない」ことがわかり、繁殖に必要であることが示されました。
鷺草(サギソウ)の品種
【鷺草(サギソウ)の品種】
- 飛翔・大飛翔:側花弁が唇弁化した「獅子咲き」
- 八月:複数唇弁の「蝶咲き」
- 緑星:花弁の数が多い「緑花」
- 玉竜花:四倍体の「大輪花」
- 武蔵野:香りのする「芳香花」
- 銀河・新銀河:鮮明な「白覆輪の葉」
- 輝・金星・光:鮮明な「黄覆輪の葉」
- 天の川:ストライプ状の「散り斑の葉」
- 暁:真ん中にでる「黄中斑の葉」
- 信濃川・白鳳:真ん中にでる「白中斑の葉」
観賞用に根強い人気があるため、園芸品種が多く存在しています。
「飛翔」「銀河」が特に人気・認知のある種で、ホームセンターとかでも見かける機会があります。
「飛翔」は、側花弁が唇弁化した変わり花で、獅子咲きと呼ばれ、非常に人気のある品種です。
飛翔よりも切れ込みが深く大型種である「大飛翔」と呼ばれるものもあります。
「銀河」は、葉に白覆輪がしっかり入る品種です。
江戸時代に発刊された『草木錦葉集』にも収録されるほど、古くから親しまれています。
従来の銀河よりも鮮明な班で大輪になる「新銀河」と呼ばれるものもあります。
サギソウ(鷺草)の育て方
サギソウ球根植物なので、植えっぱなしだと球根がうまく育ちにくく、花数が減りがちです。
そのため、毎年植え替えをするのが好ましく、冬越しした球根・新たに植え付ける球根の植え付け時期は2~3月が適期になります。
根腐れ・病気の防止のため、冬越し明けに用土も新調すると良いでしょう。
日当たりのよい低地の湿地に生息しているため、1年を通して水を絶やさないのがポイントです。
毎日水やりをするほか、腰水をして乾燥を防ぐ方法で栽培されます。
腰水での栽培管理については、下記記事でまとめていますのでご参照ください。
用土は過湿になりにくい赤玉土を使うのが良く、自生している湿地は栄養が乏しいので施肥は必要ありません。
開花時期は7月~9月になり、とても暑い季節の管理が重要です。
日当たりと風通しのよい場所が好ましいのですが、葉焼けしやすいので30℃を超えてくると遮光が必要かもしれません。
秋~冬にかけて地上部は枯れますが、寒さに強く球根の状態で冬越しが可能です。
サギソウ(鷺草)の増やし方
親株からランナーを伸ばして球根を作るので、分球することで簡単に増やすことができます。
植えっぱなし解消のために、植え替えを同時にやるのがおすすめです。
さあサギソウとヌシでも見て癒されよう🐸#湿地帯ビオトープ pic.twitter.com/8KI1lSH6LO
— おいも屋 (@nougyou_doboku) August 5, 2024
球根の肥大を促進させるため、花が咲き終わったら花がら摘んで種をつけないようにします。
1株で2~4球の新しい球根を作って群生を好みますが、鉢植えだと球根の場所が限られるので空きスペースには注意しましょう。
まとめ
サギソウ(鷺草)の飼育方法についてまとめました。
サギソウは湿地性植物として、水持ちの良い環境と適切な日照管理で美しい花を咲かせることができます。
分球による増殖も容易で、毎年楽しむことが可能です
実際にビオトープを作成した私がおすすめする水草をまとめていますので、下記から詳細をご参照ください。