農業は1年に1作しかできないものが多く、圧倒的に経験・知識が不足してしまいます。
農業に従事し続けるには、勉強し常に新しい知見を学ばねばなりません。
勉強方法として、業界セミナー・先進地訪問・普及員による指導などありますが、私は本・業界誌・論文などを用いて勉強することが好きです。
その一環として『稼げる!新農業ビジネスの始め方』を読みましたので、書評・要約のように綺麗に整理できていませんが、感想・勉強になった内容をまとめてみます。
目次
『稼げる!新農業ビジネスの始め方』とは?
読みやすさ | |
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専門性 | |
役立ち度 |
- 著者:山下 弘幸 (著)
- 出版社:すばる舎
- 発売日:2018/9/20
- ページ数:224ページ
【目次】
- 第1章 農業で成功するためのキーワードは“ビジネスセンス”
- 第2章 我は農業界のジョン万次郎なり
- 第3章 農業会社に勤めてガッチリ起業準備をする
- 第4章 農業起業してガッチリ個人事業者になる
- 第5章 めざせ!農業コンサルタント
『稼げる!新農業ビジネスの始め方』は、新しい農業ビジネスの変化の波を解説し、同時に参入希望者への具体的なノウハウ・アドバイスを指南するのが本書です。
農業で食べていくことを目指す全国の若者はもちろん、飲食業など周辺ビジネスの関係者も必読の1冊です。
農業は20代の若者が起業して、数年で1000 万円以上の年収を手にすることも多々ある、チャンスがゴロゴロ転がっている産業なのです。
『稼げる!新農業ビジネスの始め方』を読んで勉強になったこと

『稼げる!新農業ビジネスの始め方』では、「農業のビジネス化」に焦点を当てて、新しいビジネスモデルについて詳しく紹介されています。
変革期に来ている農業の現状を知ることができました。
本書について重要だと思ったところを、章ごとにまとめます。
第1章 農業で成功するためのキーワードは“ビジネスセンス”
続々と誕生している農業ビジネス成功者の具体的なケースが示されています。
- 北部農園:省力化・コストカットを進め、レタスとキャベツの契約栽培で年商10億円
- HATAKEカンパニー:「トヨタ式のカイゼン活動」によるベビーリーフで急成長
- むらおか:食品流通業界から、有機野菜の野菜流通ビジネスを立ち上げる
- 中村屋:和紙製造からお茶作りに転身、グローバルGAP取得へ
- にしだ果汁園:月の満ち欠けを利用した多品種果樹栽培
- 松山ハーブ農園:飲食店から黒ニンニクへ転身
これらを例に、農業にはチャンスがいくらでも転がっていると説明しています。
2006年の農地法の改正で農地の取得の緩和により参入しやすくなり、さらに2015年の改正で農地法人が緩和されました。
また、TPP交渉から「いろいろな規制によって守られていた農業を強い農業にする。攻めの農業にする」という姿勢を政府が示しました。
それにより、新たな農業を目指す人たちが農業に参入するようになり、大転換が起きています。
IOT・ICTが農業にも導入され、生産者と販売者が直接つながるサプライチェーンが構築される「ユニクロ式農業」という流通革命も起きます。
規模拡大・改善が起こる中で、「視える化」「5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)」「PDCAサイクル」を取り入れたりする「トヨタ式農業」がと呼ばれる組織農業になっていきます。
第2章 我は農業界のジョン万次郎なり
著者は、野菜農家の3代目として熊本県益城町で生まれました。
大学の進学は反対され、農家であるからと2回も結婚に反対され、農業の不自由さを感じます。
27歳で農家としてスタートしますが、いいもの作りに励みますが、貯金も底をつくどん底を味わいます。
転機となったのは、33歳の時にやり方を切り替え、自分の都合からお客様の都合に合わせた野菜作りを始めたことです。
しかし、儲かって天狗になったことから妻から三行半をくらい、家業農業を閉じて農業ベンチャー企業「株式会社果実堂ファーム」に就職します。
ベンチャー企業では、徹底したデータ管理のもとで農産物・食品を取り扱い、セキュリティからトレーサビリティなどに至るまで、ISOを取得できるレベルを目指していました。
そこでの5年間の経験を生かして、新農業に挑戦する人たちをサポートするためのコンサルタント会社「株式会社農テラス」を設立して独立します。
第3章 農業会社に勤めてガッチリ起業準備をする
全く経験のない人がいきなり農業の世界に飛び込むのは難しいので、まず農業会社に就職することが勧められています。
農業法人は国策として推進されており、大量の求人が発生しています。
その中でも今後発展していく先駆的な農業会社を選ぶため、著者は「SNSで積極的に情報を発信しているかどうか」をポイントとして挙げています。
農業未経験の方が、旧態依然の農業に染まっているよりも良いので、不安がらずに申し込むと良いそうです。
農業ビジネスは徹底したルーティーンワークの積み重ねなので、ルーティンワークを効率化・アウトソーシングするノウハウを学んでいく場として農業会社が使うことができます。
独立の前に勉強しておく9つのことが示されています。
- 植物の理屈を知れ
- 農業機械作業のコツを知れ
- 四季の変動を知れ
- 物流の仕組みを学べ
- 市場相場、モノの価格を知れ
- コスト削減のノウハウを身につけろ
- 帳票類のつけ方を覚えよう
- キャッシュポイントをつかめ
- ネットワークを築け
そんな農業会社が欲している人材は、組織を運営するマネージャーとして能力がある人で、「頼まれやすい人・レスポンスが早い人・チームプレーができる人・コミットする力がある人・数字に強い人」などが好まれます。
第4章 農業起業してガッチリ個人事業者になる
日本で動き始めている新農業ビジネスは、競争相手のいない未開拓市場「ブルー・オーシャン」ビジネスです。
新農業は、組織化することで省力化・効率化・合理化を進め、規模を大きくすることで利益の最大化を図ります。
農業起業をして、1000万円の手取りを手に入れるには売上1億円は必要です。
規模のビジネスを行うには、パートを含めたスタッフは10〜12人は揃えなければなりません。
経営者である自分が1000万円、役員が2人いたとしてそれぞれ600〜800万円、社員に300〜600万円、パートが200〜300万円の報酬を得るという計算をし、1億円のうち5000万円が人件費になります。
残りの5000万円の3000万円が生産コスト、2000万円が販管費になります。
「人件費:生産コスト:販管費=5:3:2」になることを知っておかなければいけません。
売上が1億円になると、取引先パートナーにとっても代替えがきかなくなる存在になるので、経営は安定します。
1億円の売上を達成するための方法が記載されています。
- まずはビジネスパートナー:BtoBで契約を交わす
- ゼロから始めるなら7000万円が必要:施設栽培の場合の初期投資
- 必要な「シェアリング・エコノミー」の発想:農機具のレンタル
- セミナー・ガイダンスで情報収集を:時代の潮流を掴む
- 金融機関を味方につける:継続的なビジネスモデルを構築
- 農業ファンドを利用する:農業法人投資育成制度を活用
- 自分自身をブランド化せよ:信用・実績を積み上げる
第5章 めざせ!農業コンサルタント
新農業の時代に移り変わりつつあるため、農業の現場では困ったり迷ったりしている人が増えています。
農業普及員などによって栽培技術はサポートされますが、「お客さんといかにマッチングしていくか」「流通業者・物流業者との商談」などはサポートされません。
そんな人に対して、「私が自分の得意な分野であなたをサポートしますよ」と農家をサポートする人になりましょう。
そのためには、農業会社に就職して、「自分が体験したことを全て第三者に伝えるんだ」という気持ちで学ぶ姿勢が大事です。
『稼げる!新農業ビジネスの始め方』を読んで今後勉強すべきこと

『稼げる!新農業ビジネスの始め方』を読んで、農業でスマールビジネスを立ち上げる方法を学べました。
より深く知識をつけるために、同分野の農業事業立ち上げの本をもっと読み進めます。
まず、経営計画書についての理解は重要だと思うので、経営計画に重きを置かれた就農本である『就農は「経営計画」で9割決まる 農業に転職!』を読んでみます。
また、本書の中で著者が参考にしたという『農で起業する!脱サラ農業のススメ』を読んでみます。
まとめ
『稼げる!新農業ビジネスの始め方』を書評・要約のようにまとまっていないかも知れませんが、感想・内容を紹介しました。
まだまだ勉強不足ですので、これらからもしっかり勉強していきます。
最新の農業情報を得るためには、本だと出版までのタイムラグがあるので、農業の専門雑誌を読むほうがおすすめです。
毎月購入すると結構コストがかかってしまうので、ネットで農業雑誌・家庭菜園誌が読み放の「楽天マガジン」がおすすめですので、利用してみてください。