生物の進化は複雑で長期的なプロセスで、現代の生態系が過去の進化的関係性を引き継いで形成されています。
急激な環境変化や競争・共生相手の絶滅などによって、現在の状況に素早く適応することができません。
このような状況下で、環境・生態系の急激な変化に適応できる場合もあれば、取り残されても現存できる稀有な例が多くあります。
本来の共生関係が失われているにもかかわらずその痕跡が残っている「メガファウナ果実」が代表例です。
このような現象は、代の傾向に合わない・時代遅れの考えや行動を指す言葉「アナクロニズム」が用いられます。
本記事ではこれらの現象についてまとめます。
アナクロニズムとは
アナクロニズム(anachronism)とは、時代錯誤という意味で、その時代の傾向と食い違っている様子を示す言葉です。
生物学・生態学においては、現在の環境において非効率・非適応となった形質・特徴をアナクロニズムと表現します。
生物は、急激な環境変化や競争・共生相手の絶滅などよって、現在の状況に素早くマッチすることができません。
特に人間が行う環境改変は、生物の進化のタイムスケールを超えるので気をつけなければなりません。
アナクロニズムの例 ~メガファウナ果実~
既に絶滅したメガファウナ(megafauna)と呼ばれる大型動物群が生息していました。
マンモス・サーベルタイガー・巨大な地上性ナマケモノ(メガテリウム Megatherium)が有名です。
メガファウナに種子分散を担わす「アナクロニック果実形質(Anachronic Fruit Traits)」を持つ果実が多く残っています。
- ゴモルテガ(G.keule):種子をつける高さ
- アボカド(Persea americana):種子の大きさ
- ビワモドキ(Dillenia indica):果実の硬さ
- オサージオレンジ(Maclura pomifera):球状で大きく固い果皮
- ゾウノミミノキ(Enterolobium cyclocarpum):大型のさや状
まとめ
適応進化の「アナクロニズム」についてまとめました。
適応進化における「アナクロニズム」とは、生物が過去の環境に適応して進化した特徴や形質が、現在では非効率・非適応となっている現象です。
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