食材の栄養素は料理の仕方次第で大きく変化します。
栄養を大きく損なう調理をしてしまうと、食材の栄養素を活かすことができません。
逆にちょっとした工夫・要点を知るだけで、効率的に栄養を活かすことができます。
今回は、「アボカド」の栄養・効能を活かす効果的な料理法をまとめます。
アボカドの主な栄養・効能
【アボカドの注目成分】
- エネルギー:187㎉
- 脂質:18.7g
- ビタミンE:3.3㎎
- 葉酸:84㎍
- カリウム:720㎎
- パントテン酸:1.65㎎
- 食物繊維総量:5.3g(水溶性1.7g、不溶性3.6g)
【アボカド 可食部100gあたり成分 七訂日本食品標準成分表より】
アボカドは、「森のバター」といわれるほど野菜や果物の中では「脂質」が豊富です。
アボカドの脂質は、ほとんどが不飽和脂肪酸のリノール酸・オレイン酸で、善玉コレステロールを増やし悪玉コレステロールを下げてくれる働きがあります。
脂質以外にも、たんぱく質合成促進などが期待できる「葉酸」、血圧低下・むくみ改善などが期待できる「カリウム」、便秘解消が期待できる「食物繊維」なども栄養が豊富に含まれており、「世界一栄養価の高い果実」としてギネスブックに認定されています。
脂質が多いので、カロリーが高くなってしまう点に注意が必要です。
栄養素以外にも注目すべき成分として、「グルタチオン・ルテイン」が挙げられます。
グルタチオン
「グルタチオン」は、グルタミン酸・システイン・グリシンの3つのアミノ酸からなるトリペプタイド、酸化還元を正常に維持するための物質です。
抗酸化効果・放射線障害予防効果があります。
さらに、たんぱく質・脂質の糖化防止作用・活性酸素除去作用があるため、老化物質生成防止作用が認められ、アンチエイジングとしても活躍します。
ルテイン
ルテインはカロテノイドの1種・天然色素です。
眼の水晶体・網膜の中心部にある黄斑部に多く存在し、目をブルーライトなどの有害な光線から保護する働きがあります。
ディスプレイばかり見ている現代社会に必須の成分なので、サプリメントも販売されています。
加齢でルテインが減少するので、ルテインを摂取することで眼病のリスクを下げ、視力の衰えを予防可能です。
ルテインの摂取量は6mg/日以上が望ましいとされており、継続的に1日あたり10mgのルテインを摂取することで加齢性眼疾患のリスクを軽減すると報告されています(AREDS2 Research Group; Chew EY, Clemons T, SanGiovanni JP, Danis R, Domalpally A, McBee W, Sperduto R, Ferris FL. The Age-Related Eye Disease Study 2 (AREDS2): study design and baseline characteristics (AREDS2 report number 1). Ophthalmology. 2012 Nov;119(11):2282-9. doi: 10.1016/j.ophtha.2012.05.027. Epub 2012 Jul 26. PMID: 22840421; PMCID: PMC3485447.)。
アボカド(生)のルテイン含有量は0.256mg/100gで、果物の中ではプルーン・杏の次で3位になります(参照元:Quantitation of Carotenoids in Raw and Processed Fruits in Japan)。
アボカドの栄養・効能を活かす効果的な料理法
アボカドの栄養・効能を活かすため、以下の効果的な料理方法をおすすめします。
あくまでも、栄養を活かすためであって、美味しさを追求する場合の料理方法とは異なることをご承知ください。
【アボカドの栄養・効能を活かす効果的な料理法】
- 生で食べる
- 熟してから食べる
- 脂溶性ビタミンを含む食材・油と組み合わせる
①生で食べる
アボカドに含まれるビタミン・脂質は加熱に弱いものが多いです。
そのため、アボカドは生で食べることをおすすめします。
注意として、アボカドの果実・種子・葉にはペルシンという物質が含まれており、ヒト以外の動物には中毒反応を起こすので、ペットが食べないように気をつけましょう。
②熟してから食べる
アボカドに含まれる不飽和脂肪酸などは熟すにつれて多くなります。
アボカドには3系統1000品種もの種類があり、日本に流通するアボカドは皮がゴツゴツしており、熟すと黒くなるハス種がほとんどです。
そのため、アボカドの果皮が緑から黒っぽい色に変わったものを食べましょう。
熟したアボカドはやさしく押すと柔らかい感触がしますので、買ってきたアボカドが硬かった場合は、追熟させる必要があります。
熟すのには常温(20℃)が最適温度で、バナナやりんごと一緒にビニール袋に入れたりすると、追熟を早くすることができます。
すぐに食べない場合は、熟してから冷蔵庫で3〜5日間は保存可能です。
③脂溶性ビタミンを含む食材・油と組み合わせる
脂溶性ビタミンとアボカドが多く含む脂質は相性が良く、脂溶性ビタミンの吸収率が上がります。
ビタミンA・D・Kを多く含む鶏卵、ビタミンDを多く含むマグロなどの魚介類と合わせるのがおすすめです。
また、アボカド自体がビタミンEなどの脂溶性を多く含むので、オリーブオイルなどの油と合わせても良いでしょう。
まとめ
アボカドの栄養・効能を活かす効果的な料理法についてまとめました。
栄養を生かす調理の方法に併せて、品質の良い食材を手に入れることも重要です。
残念なことに品質の良い食材を買ってみようと思っても、近所のスーパーの品揃えがない・価格高いなどの問題にあたってしまいます。
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農家による経験・知恵によるところもありますが、栄養をしっかり摂るためには正しい情報・データも必要なため、書籍・論文などの文献で勉強しました。
栄養について勉強をした際に使用した書籍をまとめましたので、興味がありましたらご参照ください。