食材の栄養素は料理の仕方次第で大きく変化します。
栄養を大きく損なう調理をしてしまうと、食材の栄養素を活かすことができません。
逆にちょっとした工夫・要点を知るだけで、効率的に栄養を活かすことができます。
今回は、「じゃがいも」の栄養・効能を活かす効果的な料理法をまとめます。
じゃがいもの主な栄養・効能
【じゃがいもの注目成分】
- 炭水化物:19.7g
- ビタミンC:15mg
- カリウム:330mg
- リン:23mg
- 食物繊維:1.8g
【じゃがいも 蒸し 可食部100gあたり成分 七訂日本食品標準成分表より】
じゃがいもは、免疫力上昇・抗酸化作用・美肌効果などが期待できる「ビタミンC」が豊富です。
江戸時代にジャガトラ(現在はインドネシアのジャカルタ)から伝わったのが、名前の由来といわれています。
品種として、「男爵・メークイン・キタアカリ・インカのめざめ」などが流通しています。
収穫期である2月から春までは新ジャガとして、それ以外の期間は貯蔵されたものです。
栄養素以外にも注目すべき成分として、「GABA」「クロロゲン酸」が挙げられます。
GABA
GABAは英語のGamma-Amino Butyric Acidの頭文字をとった略称で、γ-アミノ酪酸というアミノ酸の一種です。
じゃがいも100gあたり、GABA含有量は28mgになります。(大野一仁ら,愛媛県工業系報告,45, 29-34, 2007.)
最近はサプリメント・チョコなどで手軽に摂取することができます。
GABAは、以下の効果があります。
- 緊張・ストレス・疲労の緩和
- 就寝時の興奮性神経伝達物質を抑える
- 血圧・コレステロール値・中性脂肪値の低下
- 脳内の血流活性による記憶力向上・アルツハイマーなどの認知症予防
GABA含量も品種間で差があることが認められており、「インカレッド」で最も多かった(61mg/100g)という研究結果が示されています(ジャガイモおよびその加工食品のγ-アミノ酪酸(GABA)含量,日本食品科学工学会誌2006年53巻9号,p.514-517)。
クロロゲン酸
クロロゲン酸は、強い抗酸化作用があるポリフェノールの1種です。
活性酸素除去効果・糖新生抑制などから、がん予防・老化防止・糖尿病予防などの効果が期待できます。
コーヒー・じゃがいも・さつまいも・ごぼう・リンゴなどに多く含まれています。
じゃがいもの栄養・効能を活かす効果的な料理法
じゃがいもの栄養・効能を活かすために、以下の効果的な料理方法をおすすめします。
あくまでも栄養を活かすためであって、美味しさを追求する場合の料理方法とは異なることをご承知ください。
【じゃがいもの栄養・効能を活かす効果的な料理法】
- 皮つきで食べる
- 蒸す・電子レンジで加熱
- 暗所で保管
①皮付きで食べる
じゃがいもの皮付近には「クロロゲン酸」が豊富で、皮付きで食べることがおすすめです。
皮付きで調理されることで、ビタミンCなど栄養の流出を抑えることもできます。
注意点として、じゃがいも芽・緑色の部分に有毒なグリコアルカロイド(ソラニン、チャコニン)が生成されますので、その部分は取り除かなければなりません。
また、普通のじゃがいもは包丁で皮を剥くほど厚みがあるが、新じゃがの場合は皮が薄いので保管の際の擦れなどで剥がれてしまうので注意が必要です。
②蒸す・電子レンジで加熱
ビタミンCは加熱に弱いのですが、じゃがいもに含まれるデンプンに守られているため、加熱しても壊れにくいです。
カルビーの研究(ジャガイモおよびその加工食品におけるクロロゲン酸)によると、クロロゲン酸についても調理をしてもある程度保持できます。
しかし、ビタミンCは水溶性なため、茹でるなど水につけることはよくありません。
また、120℃以上に加熱すると発癌性物質である「アクリルアミド」が発生してしまうため、焼く・揚げることもおすすめできません。
そのためじゃがいもの調理方法として、「蒸す・電子レンジで加熱」が好ましいです。
③暗所で保管
じゃがいもは日光・蛍光灯の光に当てて保存すると、表面が緑色になる「緑化」という現象が起きます。
発芽部分だけでなく、この緑化した部分にも有毒なソラニンが含まれているので注意しましょう。
じゃがいもは涼しげな暗所で保管することが大事です。
暗所といっても、じゃがいもを低温(4℃)で保存するとビタミンC量が減ってしまい、糖濃度が高くなり「アクリルアミド」が発生しやすくなる低温障害を起こすため、冷蔵庫で保存するのは避けましょう。(大羽和子ら:ジャガイモ塊茎の生育および冷却貯蔵に伴う ビタミンC量およびその合成酵素活性の変化)
まとめ
じゃがいもの栄養・効能を活かす効果的な料理法についてまとめました。
栄養を生かす調理の方法に併せて、品質の良い食材を手に入れることも重要です。
残念なことに品質の良い食材を買ってみようと思っても、近所のスーパーの品揃えがない・価格高いなどの問題にあたってしまいます。
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農家による経験・知恵によるところもありますが、栄養をしっかり摂るためには正しい情報・データも必要なため、書籍・論文などの文献で勉強しました。
栄養について勉強をした際に使用した書籍をまとめましたので、興味がありましたらご参照ください。