測量業務は、土木工事における設計・施工管理に必須なスキルです。
さらに最近の測量業務は、解析ソフト・AI・ドローン等の登場により高度な技術が求められ、測量技術の重要性が高まっています。
測量士・測量士補を取得することで、測量業務の知識を取得することができ、キャリアアップに必ずつながりますので、紹介させていただきます。
測量士・測量士補とは?
測量の仕事には、大きく「外業」と「内業」の2つがあります。
外業は建設・土木工事の現場で実際に測量する業務で、内業は、測量計画・製図・測量データ分析などのデスクワーク業務を指します。
測量≒外業のようなイメージがあるかもしれませんが、内業が重要で難しいです。
そのため、「測量士・測量士補」の資格が設けられており、測量業者は資格保有者の配置が義務付けられています。
測量士・測量士補の仕事先
測量士は測量計画を作成できますが、測量士補は測量計画を作成することができない点で、測量士が主に重宝されます。
そのため、大手ゼネコンを含め、建設・土木会社への就職・転職に有利になります。
また、現場での現場管理・設計業務で測量作業を伴う、公務員(技術職員)・設計測量コンサルタント会社でも測量士の資格は力を発揮します。
資格取得について
測量士、測量士補になるには、資格要件を満たし、測量士名簿・測量士補名簿に登録されることで免許登録されます。
資格を取得するためには、
- 学校で知識や技能を修得する「認定方法」
- 試験に合格する試験方法
の2つの方法があります。
必要な学歴を有してる場合は、実務経験を必要な年数経過することによって、申請するだけで資格取得できる「認定方法」を使います。
必要な学校に通えていない場合・必要な経験年数前に資格取得が必要な場合は、試験に合格する「試験方法」を使います。
認定方法
認定方法の場合、測量士と測量士補の差は、実務経験があるかないかの違いでしかありません。認定方法で取得する場合は、測量士補を取得せずに測量士のみを取得する傾向があります。
測量士
- 大学であって文部科学大臣の認定を受けたものにおいて、測量に関する科目を修め、当該大学を卒業した者で、測量に関し一年以上の実務の経験を有するもの(測量法第50条第1号)
- 短期大学又は高等専門学校であって文部科学大臣の認定を受けたものにおいて、測量に関する科目を修め、当該短期大学等を卒業した者で、測量に関し三年以上の実務の経験を有するもの(測量法第50条第2号)
- 測量に関する専門の養成施設であって第51条の2から第51条の4までの規定により国土交通大臣の登録を受けたものにおいて一年以上測量士補となるために必要な専門の知識及び技能を修得した者で、測量に関し二年以上の実務の経験を有するもの(測量法第50条第3号)
- 測量士補で、測量に関する専門の養成施設であって第51条の2から第51条の4までの規定により国土交通大臣の登録を受けたものにおいて高度の専門の知識及び技能を修得した者(測量法第50条第4号)
測量士補
- 大学であって文部科学大臣の認定を受けたものにおいて、測量に関する科目を修め、当該大学を卒業した者(測量法第51条第1号)
- 短期大学又は高等専門学校であって文部科学大臣の認定を受けたものにおいて、測量に関する科目を修め、当該短期大学等を卒業した者(測量法第51条第2号)
- 測量法第50条第3号の登録を受けた測量に関する専門の養成施設において一年以上測量士補となるのに必要な専門の知識及び技能を修得した者(測量法第51条第3号)
実務経験年数は、以下の日数が必要になります。
従事期間・従事日数 | ||
教員 | 教員以外 | |
実務1年 | 教職1800時間以上 | 従事期間1年以上かつ従事日数が225日以上 |
実務2年 | 教職3600時間以上 | 従事期間2年以上かつ従事日数が450日以上 |
実務3年 | 教職5400時間以上 | 従事期間3年以上かつ従事日数が675日以上 |
試験方法
測量士は測量法第50条第5号で定められている測量士試験、測量士補は測量法第51条第4号で定められている測量士補試験に合格した者が資格取得ができます。
試験手数料として、測量士試験4250円、測量士補試験2850円の費用がかかります。
受験資格は無く、年齢・学歴・実務経験に関係なく受験することができます。
試験は、1年に1度、例年5月に行われ、筆記試験のみです。
試験形式・出題数・配点・合格基準が以下のように公開されています。
測量士 形式 出題数 配点 合格基準 午前 択一式 28問(1問当たり25点) 700点 択一式が400点以上
かつ
択一式と記述式が合計910点以上午後 記述式 必須問題1題 300点 選択問題4題中2題選択
(1題当たり200点)
- 基準点測量
- 地形・写真測量
- 地図編集
- 応用測量
400点
測量士補形式 出題数 配点 合格基準 択一式 28問
(1問当たり25点)700点 450点以上 引用:国土地理院HP
免許登録について
資格要件を満たすだけでは測量士・測量士補として認定されません。
資格保有者は、国土地理院が保有する測量士名簿・測量士補名簿へ登録する必要があります。
国土地理院の「測量士及び測量士補登録に関する案内」から登録申請書を提出すると「登録通知書」が送付されます。
登録免許税として、測量士は30000円、測量士補は15000円の費用が必要です。
測量士・測量士補であることを証明する書類が必要がある場合、登録証明書を別に申請すると発行されます。
詳細は、測量士は国土地理院の『「測量士」を登録される方』、測量士補は国土地理院の『「測量士補」を登録される方』を参照ください。
試験対策
上記の試験方法で測量士・測量士補の資格を獲得する場合、仕事をしながら勉強することがほとんどだと思います。
そのため、職場に有資格者がおり、試験対策について話が聞けることが多いため、独学が可能な資格試験です。
しかし、令和5年の測量士試験の合格率は10.3%(合格者379人/受験者3,667人)・測量士補の合格率は32.2%(合格者4,342人/受験者13,480人)と難易度は高めになっています。
そのため、会社によっては、資格獲得を奨励するために勉強会が開かれるほどです。
独学が難しい場合も、有名な資格試験ですので、独学をサポートしてくれるサービスも多くあります。
測量士・測量士補は、一番の障壁になるのは問題になるのは試験勉強の時間確保です。
平日は建築・土木仕事がハードで勉強どころではなく残業を抱える人が多いですので、休日にまとめて勉強するしかありません。
そこで、学科試験・実地試験が別々にエントリーすることが可能ですので、1年目に学科試験・2年目に実地試験にするなど試験年度の分散によって、勉強の負担を分割することが可能です。
それでも試験勉強の時間の確保が厳しいので、効率的に勉強できる参考書・過去問を利用して、6〜8割の得点を狙って捨てる分野を作りましょう。
まとめ
測量士・測量士補に関する資格取得方法について簡単にまとめてみました。
資格取得のために、受験の縛りが全くない測量士試験・測量士補試験がありますので、他の分野からの転職もできます。
ぜひ資格を取得していただいて、専門知識の習得を図って、土木技術の向上に繋げていただければと思います。