子どもと生物多様性・生態系を勉強するために、わかりやすく簡単に使える教材として、書籍(絵本・児童図書・図鑑)がおすすめです。
図書館を利用すれば費用もかかりませんし、紹介する本以外にも良い出会いがあるかもしれません。
力を入れて特設コーナーを作っている図書館もありますし、こんな本が読みたいと司書さんに問い合わせれば適切な本を選書してくれます。
子ども向けの書籍(絵本・児童図書・図鑑)を独自でまとめてみましたので、参考までに御覧ください。
目次
絵本
生物多様性・生態系について、直球で学ぶのではなくふんわりとした概念的に学ぶには絵本が最適です。
未就学児の頃から触れることができ、自然に親しみをもって情操教育のきっかけになります。
おすすめしたい絵本として以下のものを紹介します。
【生物多様性・生態系の学習におすすめな絵本】
- 生きものいっぱい ゆたかなちきゅう
- いのちのつながり
- ちきゅうがウンチだらけにならないわけ
- たべることはつながること
- 土をつくる生きものたち・森を育てる生きものたち
生きものいっぱい ゆたかなちきゅう
- 出版元:そうえん社
- 発行年月:2008/5/1
- 著者等:うた 本川達雄、え ワタナベケンイチ
『生きものいっぱい ゆたかなちきゅう』は、東京工業大学名誉教授の本川達雄氏による、生物多様性をテーマにした「うたの絵本」です。
巻末には、歌「生きものいっぱい ゆたかなちきゅう」の楽譜が掲載されています。
歌になっていて楽譜もあるので読み聞かせに最適です。
本川達雄氏は歌う生物学者と知られており、他の著書には『ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学』『ウニはすごいバッタもすごい デザインの生物学』などがあります。
いのちのつながり
- 出版元:福音館書店
- 発行年月:1991/04/25
- 著者等:分 中村運、絵 佐藤直行
『いのちのつながり』は、甲南大学名誉教授で分子生物学者の中村運による、遺伝子を中心とした本です。
「すべての生き物がたったひとつの祖先から枝分かれして進化してきた」「すべての生き物が遺伝子でつながっている」など、難しい内容を分かりやすく解説されています。
生物多様性には「生態系・種・遺伝子」の3種類があり、下記の記事でまとめていますのでご活用ください。
ちきゅうがウンチだらけにならないわけ
- 出版元:福音館書店
- 発行年月:2013/06/20
- 著者等:作 松岡たつひで
『ちきゅうがウンチだらけにならないわけ』は、ウンチの役割が分かる絵本です。
いろんな生き物のウンチが図鑑のように描かれ、ウンチにもいろんな種類があることが知れます。
自然界ではウンチが循環していて、分解する生物には必要不可欠なものです。
臭い・汚いというイメージを払拭でき、トイレトレーニングの一環としても役立てます。
たべることはつながること
- 出版元:福音館書店
- 発行年月:2009/05/30
- 著者等:作 パトリシア・ローバー 絵 ホリー・ケラー 訳 くらた たかし・ほそや あおい
『たべることはつながること』は、食物連鎖のつながりを紹介する絵本です。
自然界の生き物は、食べたり食べられたりして互いに密接につながっています。
食べたツナサンドのマグロをスタートに食物連鎖を遡っていき、植物にたどり着くことがわかります。
「ライオンさんは何を食べてるかな?」とか他の動物が何を食べてるかの興味作り、食育のきっかけ作りにおすすめです。
食物連鎖は生態系を簡便に示す1つの工夫で他も栄養段階・生態ピラミッドなどがあり、下記の記事でまとめていますのでご活用ください。
参考ページ:「食物連鎖・栄養段階・生態ピラミッド」について
土をつくる生きものたち・森を育てる生きものたち
- 出版元:岩波書店
- 発行年月:2005/11/1・ 2008/10/13
- 著者等:著 谷本雄治・イラスト 盛口満
『土をつくる生きものたち』は、雑木林に住むトビムシ・ミミズ・ダンゴムシ・センチコガネなどを紹介しながら、落ち葉・死骸・糞を土に変えていく様子を紹介する絵本です。
イラストとリズミカルな文章が子どもの興味を引きつけます。
『森を育てる生きものたち』は、『土をつくる生きものたち』の第二弾で、葉っぱ・木の実を食べるいきものがいるのに、どうして豊かな森が維持されるのか教えてくれる絵本です。
この2冊を合わせることで、森林の物質循環について学ぶことができます。
登山やハイキングをする前・後にこの本を読むと、森林についての興味が深まりますので、とてもおすすめです。
児童図書
児童図書は、字を読んで理解できるように子ども向けに描かれた本です。
字が読めることが前提になるので小学生以上が対象になることが多いですが、子どもに合わせた分かりやすい内容・マンガ調のものもあるので、読み聞かせで使うこともできます。
おすすめしたい児童書として以下のものを紹介します。
【生物多様性・生態系の学習におすすめな児童書】
- 日本らしい自然と多様性-身近な環境から考える
- 川は生きている・道は生きている・森は生きている・お米は生きている・海は生きている
- 学校勝ちぬき戦 実験対決35 「生態系と環境の対決」
日本らしい自然と多様性-身近な環境から考える
- 出版元:岩波書店(ジュ ニア新書)
- 発行年月日:2010/5/27
- 著者等:著 根本正之
『日本らしい自然と多様性-身近な環境から考える』は、日本に住む在来種の多様性を保全するにはどうしたら良いか伝える児童書です。
植物を中心に、帰化植物などの外来種ばかりになる日本の環境について考え、多様性を保つための実際の事例も記載されています。
農学博士である著者は、3点をまず知ってほしいと解説しています。
- 日本らしい自然とはどんなものか
- 多様性を失わせた人間の行為は何だったのか
- 草花の社会はどんな生態系なのか
身近なところで日本らしい多様性を持つ場所を探し、マイ・フィールドとして観察をすることを進めています。
フィールドワークをするきっかけとなる1冊です。
川は生きている・道は生きている・森は生きている・お米は生きている・海は生きている
- 出版元:講談社(青い鳥文庫)
- 発行年月日:2012/6/15・2012/9/14・2012/12/11・2013/4/12
- 著者等:著 富山和子・著 大庭 賢哉
「生きている」シリーズは、日本の自然と人々の営みをわかりやすく説いた児童向けノンフィクション作品としてロングセラーとなっています。
自然が人間にどのような恵みをもたらし、どう関わっていくべきかを考えさせてくれます。
『川は生きている』は、産経児童出版文化賞受賞作品で、人間と自然の歴史の中で川が大きな役割を果たしてきたことを知れる1冊です。
急流として知られる日本の川の恵みをどのように活用してきたのか理解できます。
『道は生きている』は、道が経済活動・文化の交流に欠かせないものであることを伝える1冊です。
並木の道・石の道・絹の道・塩の道などの道のなりたちを知ることで、人と人とのつながり・歴史が分かります。
『森は生きている』は、森が人間に与えてくれる「森の恵み」を知るきっかけ作りになる本です。
日本の国土の3分の2である森林が、生活の道具・酸素・水など人間の営みに欠かせないものを作っているだけでなく、土・海などの自然を支える働きもあることが分かります。
『お米は生きている』は、お米が日本の文化の土台をどれだけ形成しているか知れる1冊です。
食・お金・地下水・田園風景・神様・祭りなど、日本ならではの自然との関わりが分かります。
『海は生きている』は、水のつながりが命のつながりであり、すべての命の母が海であることが知れる1冊です。
食事・運輸・雨など多様なかかわり合いがあり、陸と海の関わりを深く分かります。
学校勝ちぬき戦 実験対決35 「生態系と環境の対決」
- 出版元:朝日新聞出版
- 発行年月日:2020/8/20
- 著者等:文 ストーリーa.絵 洪鐘賢
『学校勝ちぬき戦 実験対決35 「生態系と環境の対決」』は、「学校勝ちぬき戦 実験対決」シリーズの生態系を扱った学習マンガです。
国際実験オリンピックを舞台に、小学生ウジュやウォンソの活躍を通して、「食物連鎖・生態ピラミッド」などの知識が学べます。
マンガで楽しく学べるだけでなく、実際に行える実験も掲載されているのもこの本の特徴です。
図鑑
図鑑は、図・写真を用いて理解を支えてくれる本です。
ビジュアル面では動きのある映像メディアには劣ると思われがちですが、想像力を働かせる余地を子どもに与えるため知的好奇心が育まれやすいのです。
図鑑は読むペースを自分で調節できるので、1つ1つじっくり観察したり、比較観察したりするのに大変優れています。
おすすめしたい図鑑として以下のものを紹介します。
【生物多様性・生態系の学習におすすめな図鑑】
- いきもの図鑑えほん
- はじめてのずかん みぢかないきもの (講談社の動く図鑑MOVE)
- 田んぼの生き物図鑑
- プラネットアース イラストで学ぶ生態系のしくみ
いきもの図鑑えほん
- 出版元:あすなろ書房
- 発行年月日:2012/2/28
- 著者等:作 前田まゆみ
『いきもの図鑑えほん』は、身近な生き物154種を優しいイラストで紹介する図鑑です。
図鑑えほんと書いてある通り、絵本のような可愛いイラストなのですが、特徴や生態が細かく記載されています。
身近なイヌ・ネコから森に住む昆虫まで、幅広い生きものがまとめられています。
優しいイメージの図鑑を探している方には大変おすすめです。
はじめてのずかん みぢかないきもの (講談社の動く図鑑MOVE)
- 出版元:講談社
- 発行年月日:2018/3/15
- 著者等:監修 瀧 靖之・監修 今泉 忠明
『はじめてのずかん みぢかないきもの (講談社の動く図鑑MOVE)』は、『はじめてのずかん』シリーズの身近ないきもの編です。
脳医学者である瀧靖之先生が監修に入り、「賢い子」育てるためのしかけが随所に見られます。
小さなこどもが出会う身近な生きものを網羅しつつ、動物学者の今泉忠明先生による本格的な解説も豊富です。
NHKのスペシャル映像つきで、「2歳からの読み聞かせ・5歳からのひとり読み」に最適の図鑑です。
田んぼの生き物図鑑
- 出版元:山と渓谷社
- 発行年月日:2013/2/22
- 著者等:写真・文 内山 りゅう
『田んぼの生き物図鑑』は、田んぼに生きる多種多様な生き物を紹介する図鑑です。
2005年に発行されたものを、新知見も加えて増補改訂新版として再発行されました。
田んぼで生き物観察・捕獲を楽しむなら、必須の1冊かと思います。
分野ごとに分冊化されたもので良ければ、宝くじの普及宣伝事業を活用し、(社)農村環境整備センターした「田んぼの生きもの図鑑」が無料でダウンロードできるので、ご活用ください。
プラネットアース イラストで学ぶ生態系のしくみ
- 出版元:創元社
- 発行年月日:2019/12/17
- 著者等:著 レイチェル・イグノトフスキー・監訳 山室真澄・訳 東辻千枝子
『プラネットアース イラストで学ぶ生態系のしくみ』は、地球規模での生態系の仕組みを地域別に紹介している絵本です。
地球環境学の基本に、特色ある気候・地形・生物分布を紹介しています。
モンスターハンターのロード画面のようなイラストがたまらなく可愛いです。
ビジュアルブック・絵本的な辞書なもので、持続可能な環境づくりに必要な知識を楽しく学べます。
小学校5年生以上で習う漢字にのみ送り仮名がついている点は注意が必要です。
まとめ
「生物多様性・生態系」について子どもと学べる書籍まとめました。
図書館以外にも、書籍探しに参考になる情報元はたくさんありますので、そこでも探してみてください。
「生物多様性・生態系とは何か」を子どもと勉強する方法は、書籍以外にも映像メディア(テレビ番組・映画・YouTube)・ゲーム(テレビゲーム・カードゲーム)があります。
詳細については、下記記事でまとめていますのでご参照ください。