用水路・排水路には、開水路・閉水路の2種類があります。
これらは、水路の流量計算・構造計算において、大きな違いをもたらすので、しっかり違いを把握しておく必要があります。
今回は、開水路についてまとめていきます。
目次
用水路・排水路の種類と特徴 ~開水路~

開水路は、自由水面を持ち、農業用水と農地等からの排水を流送を目的に設置される水路です。
自由水面を持たず、水路断面いっぱいに満水状態で流れる場合は閉水路(管水路)と呼びます。
水路の設置目的によって用水路と排水路に分かれるのです。
用水路は、水利用計画に基づく流量を過不足なく効率的に流送できる機能を有するように敷設されます。
排水路は、受益地域の湛水被害を防止するため、降雨流出を受益地から排水先まで迅速かつ安全に通水する機能を有するように敷設されます。
同じような水路だが、用水路と排水路では求められる性質が大きく異なるのです。
開水路の種類
出典:農業水利施設の機能保全の手引き「開水路」
開水路は、擁壁型水路・ライニング水路・無ライニング水路に大別されます。
構造材料・安定性に着目して分類すると鉄筋コンクリート構造の水路を「鉄筋コンクリート開水路」、無筋コンクリート構造の水路を「無筋コンクリート開水路」、「その他開水路」に分類可能です。
鉄筋コンクリート開水路

鉄筋コンクリート水路は、フリューム水路と鉄筋コンクリート二次製品水路に大別されます。
経済的な三面水路で、施工が容易であるため水路にて多く使用されます。
しかし、水路三面ともすべてがコンクリートであり、自然環境への影響が懸念されます。
フリューム水路

フリューム水路(鉄筋コンクリート構造物)は、水路側壁と底版が構造的に一体となって土圧、水圧等の荷重を支持する形式の水路です。
正式名称は鉄筋コンクリートベンチフリュームと呼ばれ、大きな流量を流下させるために台形断面が一般的です。
一体型なので施工が簡単ですが、断面が大きくなると製品重量が超大になって、材料搬入・据付に大型機械が必要になる点に注意しなくてはなりません。
鉄筋コンクリート二次製品水路
鉄筋コンクリート二次製品水路は、規定の設計諸元に基づき、工場等で製造された単体、又は工場製品部材をコンクリート材料等で接合するか、あるいは組み合わせたものです。
L型水路の場合は、底版を現場打ちをするので水路幅を自由に設定できます。
2面水路の組立式鉄筋コンクリート柵渠は、柱が水路面に出るA型は平パネル・水路内面に凹凸がなく滑らかなB型はソケットパネルを使用し、施工性・経済性を高めることができます。
現場で施工する分、フリューム水路よりは手間はかかりますが、比較的小さい建設機械で施工できる点が強みです。
無筋コンクリート開水路

無筋コンクリート開水路は、重力式擁壁水路やもたれ式擁壁水路に大別されます。
基本、底盤は別規格で考え、コンクリート底盤が入れられることもありますが、環境配慮型で底盤はなしで土砂や砕石のみで行われることもあります。
重力式擁壁水路

重力式擁壁水路は、自立式の無筋コンクリート構造で、自重によって土圧に抵抗する形式です。
擁壁高さの0.2倍以上の十分な根入れ深さを確保することが望ましいので、 壁高が2~3m 程度までの排水路及び用排兼用水路に用いられます。
転倒や基礎地盤の沈下に注意が必要ですが、狭い施工範囲・小さな壁体で背面の崩壊抑止ができるので斜面地で効果的です。
もたれ式擁壁水路
出典:大和クレス株式会社HP
もたれ式擁壁は、もたれ式の無筋コンクリート構造で、地山又は裏込め土などに支えられながら自重によって土圧に抵抗する形の水路です。
重力式と異なり自立できていないので、背面の地山・地盤が安定している必要があります。
重力式よりコストが安く法面保護を図ることが可能です。
その他開水路

その他の開水路は、矢板型水路・コンクリートブロック・積水路・石積水路・ライニング水路に大別されます。
矢板型水路
出典:水路をゆく・第二運河
矢板型水路は、自立式で矢板や親杭の根入れ地盤の受働抵抗と矢板の曲げ剛性によって土圧に抵抗する形式の水路です。
矢板の種類には鋼矢板、コンクリート矢板等があり、水路護岸として用いられます。
重力式擁壁水路やもたれ式擁壁水路と比べて、よりコンパクトな施工スペースで施工できるため、用地確保が難しい住宅地・都市などで適しています。
盛土掘削時の土留めなど、水路工事以外でも使用されることもあります。
コンクリートブロック積水路
出典:スプリットン工業会HP
コンクリートブロック積水路は、もたれ式でコンクリートブロックあるいは間知石を積み重ねた構造の水路です。
主に練積みは用水路に、空積みは排水路や環境に配慮した水路に用いられます。
表面に凹凸があるので、流速の減少効果などが期待できます。
側壁高は練積みの場合5m、空積みの場合3m程度以下の規模が一般的です。
ブロック接合部が構造的な弱点であり、変形部位が他の部位に拡大することもあります。
ライニング水路
ライニング水路は、基礎地盤等の安定性に基づき、コンクリートブロックやセメント等の材料によって水路表面をライニングしたもので、水路の安定性は法面及び基礎地盤の安定に基づく構造の水路です。
法面勾配は1:1~1:1.5 の範囲が多く、侵食に対する抵抗や水理条件の向上に適します。
補修しやすく、応急処置にも用いられることがあります。
無ライニング水路

無ライニング水路は、基礎地盤等の安定性に基づき、自然地盤を掘削するか又は堤防を盛立てただけの素堀水路と、内面通水部分を芝、安定剤、敷砂利等で保護した保護水路があります。
いわゆる素掘水路と呼ばれるもので、未整備の中山間地域でよく見られます。
流下能力が低く土砂が堆積しやすいので水路に不適ですが、生態系配慮工法として用いられることがあります。
まとめ

開水路の種類・特徴についてまとめました。
「のうぎょうとぼく」の中では、農業土木に関する豊富な記事を書いています。
農業土木について勉強できる本については下記にてまとめていますので、ぜひご覧ください。
参考ページ:農業土木の勉強におすすめな参考書・問題集を紹介!