農業は1年に1作しかできないものが多く、圧倒的に経験・知識が不足してしまいます。
農業に従事し続けるには、勉強し常に新しい知見を学ばねばなりません。
勉強方法として、業界セミナー・先進地訪問・普及員による指導などありますが、私は本・業界誌・論文などを用いて勉強することが好きです。
その一環として『農で起業する!脱サラ農業のススメ』を読みましたので、書評・要約のように綺麗に整理できていませんが、感想・勉強になった内容をまとめてみます。
目次
『農で起業する!脱サラ農業のススメ』とは?
読みやすさ | |
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専門性 | |
役立ち度 |
- 著者:杉山 経昌 (著)
- 出版社:築地書館
- 発売日:2005/2/1
- ページ数:264ページ
【目次】
- プロローグ 脱サラ百姓のススメ
1 ストレスで胃に穴があく前に転職を考える
2 サクッと就農する
3 営農計画はじっくり立てる
4 賃料は労働で返して一石多鳥
5 週休4日のためには労働生産性を上げる
6 収益性を上げるテクニック
ビジネス感覚をつかむための必須用語解説~これだけは知っておこう - 1 農業経営もビジネス~こうすればうまくいく
1 ニッポン農業の3大時代遅れ「肥料」「計測」「情報」を克服しろ
2 農協の指導に従っていたのでは、ムリ、ムラ、ムダが多い
3 土づくりはムダ
4 経験を積まなくとも、農業はできる
5 農業は情報産業だ~週休4日を実現するためには時短!
6 農家につけ込む「ワラワラ詐欺」!
7 楽しい農業の極意は「最適化農業」 - 2 ニッポンの農業事情
1 味とは関係ない、見た目のオリンピックと化した果物市場
2 消費者が守られていない本当の理由
3 有機農業についての誤解
4 農業の常識のウソ、ホント--産地モノには注意!
5 後継者について~世襲に頼らない後継者への経営委譲はなるか? - 3 理想のライフスタイルを手に入れた
1 毎日が土曜日!
2 農村でうまくやっていくには?
3 営農視察を有効に活用する
4 農と自然をとりまく将来は - 巻末付録 就農の軌跡
- あとがきに代えて 妻の就農体験記
- おわりに
『農で起業する!脱サラ農業のススメ』は、曖昧な領域であった農テクニックを、誰でもできるようにマニュアル化・データ化し、従来の農業手法に一石を投じた専業農家が書いた本です。
規模が小さくて、効率がよくて、悠々自適で週休4日を夫婦2人で年間3000時間労働を達成しています。
楽しい農業のコツは「ゆとり」であり、時間・予算・計画にゆとりを持たせた農業を可能にする術が記載されています。
『農で起業する!脱サラ農業のススメ』を読んで勉強になったこと
『農で起業する!脱サラ農業のススメ』では、「ラクラク農業7箇条」が示されています。
- 大金は狙わず、ゆとりを愛せ
- 効率のよい経営をめざす
- 借金はしない(自己資本比率100%にこだわる)
- 暇でも余計な作物は作らない
- 他人のマネはしない
- ビジネスとしての農業と趣味の農業をはっきりわける
- 経営改善を工夫する時間をたっぷり作る
これを主軸にして本書が構成されています。
本書で重要だと思った箇所を章ごとにまとめさせていただきます。
プロローグ 脱サラ百姓のススメ
農家出身ではない著者が、行き当たりばったりでも就農ができると説明します。
宮崎県の出張所にいきなり電話をかけて、百姓の先生を紹介してもらい、農業委員会で農地と農機具と住まいを居抜きで急に買いました。
勢いだけではなく、営農計画をじっくり立て、農機具にも大きくコストを割かないなど経営面では慎重に行動します。
農機具の賃料などは、お金ではなく援農などの労働力で返すことで、賃料を浮かしながら農業の技術も盗むなどしたたかです。
収益を上げるテクニックとして、以下のことが紹介されています。
- 資材購入時などは相見積もりを取る
- 支払い期間を短く、資材は取りにくいなどの値引き交渉
- 労働時間短縮のために投資する
- 観光農園化
1 農業経営もビジネス~こうすればうまくいく
農業の近代化には、情報化が必要で、作物が出す信号・作物の環境を数値化することでが欠かせません。
しかし、施肥根拠が不確かで、肥料も全ての成分が記載されておらず、施肥設計が不十分な状態の農家がほとんどです。
「土づくり」と称して堆肥を大量に投入していますが、土壌分析をして堆肥がどれだけ作物に吸収されてどれだけ腐食として残っているか調べていません。
過剰な施肥は、地下水を汚染し、百姓を貧乏にし、消費者に危険で過剰な硝酸態窒素を食べさせるはめになります。
盲目的に農協の指導に従っていても、「ムリ・ムラ・ムダ」が多いのです。
そんな農業の世界でも情報を適切に定義・加工・運用すれば、色々な新しい可能性が開けます。
- PERT:生産工程をばらばらの作業要素に分解し、各要素作業を合理化して最短の作業方法で標準時間を決め、その各要素作業を再構築することにより工程管理・時間短縮・出荷までの日程管理をすること(例:時間割栽培)
- QC・QA活動:品質管理・品質保証活動のこと(例:工程内・出荷前検査を実施するため、抜き取り検査)
- 毎日地温・土中水分・最低気温・最高気温・天気などのデータを取り続けること
- 労働時間は作物別に、農業歴別に記録保存
- 経理・売上は、作物ラベル・経費項目ラベル・農業依存率を記録保存
過度な外観競争に走らず、過度の自己防衛にならず、能力以上の栽培に取り組んで効率を落とさない「最適化農業」が楽しい農業につながります。
2 ニッポンの農業事情
日本の消費者は、味よりも外観に異常にコストを払うため、外観重視で味・栄養に興味がありません。
メロン・スイカ・かぼちゃを例に出し、外観にどれだけ無駄な労働力が投入されているのかが示されています。
農業に関する教科書や雑誌で知識を得て、現場で検証してきた結果たどり着いた結論が、「農業の半分は間違いルール」です。
3 理想のライフスタイルを手に入れた
田舎生活者になって何が変わったかと言えば、ストレスが全くないことです。
毎日が土曜日のような生活を送れるようになっています。
現在の価値観を再検討するために、退避する6項目の考え方が示されています。
19世紀的なものの考え方 | 21世紀的なものの考え方 |
朝から晩まで身を粉にして働く | ゆとりをもって脳を活用 |
圃場は隅々まで活用する | 作業機の効率を優先する |
面積当たりの収量を最大にする | 時間当たりの生産性を最大にする |
作ったものはお上に差し出す | 市場と直接関わる |
十年一日のように働く | 今日の私は昨日の私と違う |
ものづくり100% | 経営40%マーケティング40% ものづくり20% |
『農で起業する!脱サラ農業のススメ』を読んで今後勉強すべきこと
『農で起業する!脱サラ農業のススメ』を読んで、農業でスマールビジネスを立ち上げる方法を学べました。
より深く知識をつけるために、同分野の農業事業立ち上げの本をもっと読み進めます。
本書の実践編である『農で起業!実践編』を読んでみます。
また、本書の続編でもある『農!黄金のスモールビジネス』を読んでみます。
まとめ
『農で起業する!脱サラ農業のススメ』を書評・要約のようにまとまっていないかも知れませんが、感想・内容を紹介しました。
まだまだ勉強不足ですので、これらからもしっかり勉強していきます。
最新の農業情報を得るためには、本だと出版までのタイムラグがあるので、農業の専門雑誌を読むほうがおすすめです。
毎月購入すると結構コストがかかってしまうので、ネットで農業雑誌・家庭菜園誌が読み放の「楽天マガジン」がおすすめですので、利用してみてください。