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『NATURE FIX』の感想・勉強内容まとめ!

『NATURE FIX』の感想・勉強内容まとめ!
記事内に商品プロモーションを含みます。

自然観察を楽しむと心と体が健康的になるように感じられることが、森林浴などを通して効果が示されています。

自然がどんな影響を人間に与えてくれているのか科学的に検証された内容を、『NATURE FIX』はまとめています。

書評・要約のようにまとまっていないかも知れませんがご紹介いたします。

『NATURE FIX』とは?

読みやすさ
専門性
役立ち度
  • 著者フローレンス・ウィリアムズ(著)・栗木 さつき(翻訳)・森嶋 マリ(翻訳)
  • 出版社:NHK出版
  • 発売日:2017/7/25
  • ページ数:392ページ

<目次>

  • プロローグ─戸外の大気は人を元気にする強壮剤
  • PART1 「ネイチャーニューロン」をさがして
  • PART2 最初の五分間──身近な自然
  • PART3 一か月に五時間──自然に触れる習慣で変わる
  • PART4 三日間──大自然が脳に与える効果
  • PART5 庭のなかの都市
  • エピローグ

『NATURE FIX』は、自然に触れることで最高の脳を作れることが記載されています。

自然が脳機能を高めることを、日本・アメリカ・フィンランドなどの最新研究をもとに紹介しています。

『NATURE FIX』を読んで勉強になったこと

読書

『NATURE FIX』は、自然が人間の気分やウェルビーイングだけでなく、思考力に及ぼす影響も数値で示されています。

章ごとに重要だと思った箇所をまとめます。

プロローグ 戸外の大気は人を元気にする強壮剤

スマホアプリ「マップネス」は、1日に2回ランダムに電子音を鳴らし、「今の気分」「今していること」を集計しています。

1年で2万人の協力者・100万件以上のデータから、仕事・病床にあるときは幸福度が最も低く、友人・恋人と一緒にいるときは最も幸福度が高いことが分かりました。

ところが意外なことに、「誰と一緒にいるか」「何をしているか」のほかにも幸福度を左右する要因として「どこにいるか」浮上し、「都会にいるよりも、屋外の緑豊かな場所や自然の中に身を置いているときの方が有意に、かつ確実により深い幸福感を覚えていること」が分かりました。

あらゆる不調を自然との触れ合いがないせいにはできないが、日々の不満が多いのは精神的な回復力が弱っているせいで、リチャード・ルーブが「自然欠乏障害」と名づけました。

PART1 「ネイチャーニューロン」をさがして

【PART1の小見出し】

  • 1 バイオフィリア効果
  • 2 脳を最大限に活かすには

自然が人間に与える影響について、大きく2つの説に分かれています。

  • ストレス低減理論(SRT)
  • 注意回復理論(ART)

1 バイオフィリア効果

日本の森林浴を通して、脳が自然を必要とする理由が説明されています。

バイオフィリア仮説とは、自然の中にある穏やかで生命を育む要素により、人間が心の平穏・明晰な認知機能・共感・希望といったものを取り戻す力を得ると仮定するものです。

千葉大学環境健康フィールド科学センターの宮崎良文は、「森の中をゆっくり散策すると、都会を歩いているときと比べて、ストレスホルモンであるコルチゾールが16%減・交感神経の活動が4%減・血圧1.9%減・心拍数4%減」という結果を得ています。

こうした結果は、多大なストレスを感じている状態が森林セラピーで緩和できることを示している、と報告されました。

また、宮崎教授と共同研究している李卿氏の研究では、「3日間2~4時間ほど森の中をハイキングした結果、病原菌から人体を守るナチュラルキラー細胞(NK細胞)が40%増を7日間維持し、1ヶ月後も15%増」の結果を得ました。

NK細胞は、樹木が発散する芳香性揮発物質「フィトンチッド」が鍵となり、ヒノキから抽出したエッセンシャルオイルを加湿器にセットした部屋で睡眠をした被験者のNK細胞が20%増になったことを突き止めています。

2 脳を最大限に活かすには

ユタ大学応用認知研究所のデヴィッド・スレイヤーによると、ほんの数日間自然の中で過ごしただけで、50%も創造力が向上したことを報告しました。

自然が認知機能を向上させるうえで注意力が大きな役割を果たしています。

脳は莫大な量の情報を処理するのに、情報を選別・排除する抑制機能を用いて優先順位をつけています。

しかし、抑制と取捨選択を続けると、認知機能を駆使するために必要なエネルギーが枯渇するのです。

人間の脳は3つの主要な神経回路網が機能しています。

  1. 実行ネットワーク:集中して知的作業を行う前頭前野などが、刺激対応と行動抑制を実行する
  2. 空間知覚ネットワーク:自分の位置を把握し、空間を知覚する
  3. デフォルト・ネットワーク:脳の実行機能を休ませる

自然の中ではデフォルト・ネットワークが活性化して、フロー状態に入ることができるので、脳を回復する効果があるとされています。

PART2 最初の五分間──身近な自然

【PART2の小見出し】

  • 3 嗅覚とフィトンチッド
  • 4 聴覚と小鳥のさえずり
  • 5 視覚とフラクタル

自然に触れた直後に脳の機能は急上昇し、嗅覚・聴覚・視覚に対して大きな影響を与えます。

3 嗅覚とフィトンチッド

脳内の情動を司るニューロンに最も強い反応を起こすのは、「嗅覚」です。

しかし、人間は嗅覚受容体に関わる1000の遺伝子をもっているが、嗅覚をある程度失っても人間の生存能力に影響を及ぼさないので、その半分以上が突然変異で不活発になっています。

また、文明の発展によって多様な匂いを嗅ぐこともなので、敏感さをどんどん失っています。

4 聴覚と小鳥のさえずり

人間の作り出す騒音の量は30年ごとに倍増し、人口増加よりも速いスピードです。

騒音は睡眠時・覚醒時ともに交感神経系が反応し、心拍数・血圧・呼吸数を上昇させます。

自然音を聞くとリラックスしてコルチゾール値が下がりますが、騒音が聞こえるたびにその効果を打ち消してしまうことが指摘されています。

人間の脳は鳥の鳴き声をバックグラウンドミュージックのように感じており、毎日5分間は鳥のさえずりを聞くことが勧められています。

5 視覚とフラクタル

視覚は感情や生理機能に瞬時に多大な影響を及ぼし、自然の光景が映るスライドを見てるだけでα波が測定されます。

それは、自然が作り出す中程度の「フラクタルの幾何学模様」は、外界の刺激がニューロンによって処理されるプロセスと調和しやすいからです。

簡単に処理できる風景を眺めていると、アヘン様物質であるオピオイドが豊富な海馬傍回が活性化することがわかっています。

ただ、バーチャルな自然には効果がなく、本物の自然でなければなりません。

PART3 一か月に五時間──自然に触れる習慣で変わる

【PART3の小見出し】

  • 6 フィンランドの森で
  • 7 スコットランドとスウェーデンの取り組み
  • 8 ぶらぶら歩きの効果

ディスプレイを見る時間を減らし、1ヶ月に5時間程度は自然の中で過ごす必要があります。

6 フィンランドの森で

フィンランド国民の95%以上が、戸外での娯楽やスポーツを日常的に楽しんでいます。

自然をむやみに崇めて自己実現の道具にすることなく、国土の74%が森林です。

「ヨカミエヘンオイケウス」という自然は万物のものという法律があり、他人の土地へ出入りが認められるほど「みんなで自然を楽しく分かち合う」ことができています。

そんなフィンランドでも、都会化・近代化の影響を避けることはできず、健康被害が出ています。

フィンランド国立自然資源研究所の研究部門を率いた調査で、自然の中で過ごしてストレスの軽減効果が得るには、1ヶ月に5時間過ごすのが最低ラインとしています。

7 スコットランドとスウェーデンの取り組み

スコットランドでの調査で、収入によって健康状態に大きな差が見られるが、緑が豊かな地域では低所得者層の健康状態は比較的良好で、裕福な層と寿命の差はほとんど見られなくなりました。

公園には格差社会を解消する力があると説明されます。

そこでスコットランド政府は「愛しき緑の地とさらにその先へ」という指針を打ち出し、誰もが自宅から500m以内の安全な森に行けるようにすると宣言し、国土の森林面積の割合を現在の17%から25%に増やす目標を立てました。

戸外でメンタルケアの治療を提供する「ブラウチング・アウト」では、森の中のウォーキングを週3時間を12週間続けると、鬱病の症状が改善しています。

また、治療の一環にガーデニング・植物の栽培を行う「園芸セラピー」も行われています。

8 ぶらぶら歩きの効果

アリストテレスや聖アウグスティヌスの時代から、気持ちのいい場所で歩いているうちに身体が元気になるだけでなく、精神が健康になると考えられています。

脳波の分析により、フラストレーションと覚醒のレベルが下がり、瞑想のレベルが上がることが分かっています。

アート・クレイマーによると、1日40分間ゆったりとしたペースでウォーキングを続ければ、加齢による脳の認知機能の衰えを妨げるうえ、実行機能・記憶力が向上し、判断力・行動力のスピードが増すという研究結果が得られました。

PART4 三日間──大自然が脳に与える効果

【PART4の小見出し】

  • 9 畏怖の念と心の平穏
  • 10 PTSDに対する激流ラフティングの効果
  • 11 自然の中で伸びるADHDの子どもたち

ここまでは、文明に近い場所での自然について語られていた。

本物の自然に触れ、雄大な自然の中に深く長く身を沈めた場合における興味深い変化がここからまとめられます。

9 畏怖の念と心の平穏

ユタ大学応用認知研究所のデヴィッド・スレイヤーによると、自然の中で3日間過ごせば五感が研ぎ澄まされ、ものの見方が変わり、認知機能が向上するという説「三日効果」を提唱しています。

デジタルからアナログに逆行することで、共感力の衰え・内省の機会減少に抵抗できます。

雄大な自然から得られる畏怖の念は、人との絆を強め、炎症が治まり、ストレスがやわらぎます。

この畏怖の念は、いまこの瞬間に集中できるようにな、時間の感覚が拡張する可能性も秘めています。

10 PTSDに対する激流ラフティングの効果

激流ラフティングのようなちょっとした冒険は、アドレナリンがほどよく放出され、いまこの瞬間を生きていると実感でき、激流を抜け出すとほっとしてエンドルフィンが一気に放出されます。

そのため、自然や野生動物と触れあえば、PTSDなどのトラウマの症状を改善できると考えられています。

退役軍人を対象にした調査では、「アウトワード・バウンド」プログラムの参加者の9~19%に精神面で改善が見られました。

11 自然の中で伸びるADHDの子どもたち

自然の中に住んでいた初期の人類には、1つのタスクに集中して取り組むと同時に、必要とあればタスクをすぐに切り替えられる反応の速さが求められました。

発達過程にある子どもの脳には自然が必要です。

ADHDの子どもたちの症状改善にも有効で、自然の中で過ごすと症状が1/3に減ると分かっています。

運動と探検遊びが脳内物質の働きが活性化して、知覚能力・IQ・言語能力・数学的能力が向上し、この効果は学齢が低いほど大きくなります。

PART5 庭のなかの都市

【PART5の小見出し】

  • 12 都会生活者が自然の恩恵にあづかるには

12 都会生活者が自然の恩恵にあづかるには

2008年、人類史上初めて都市部に暮らす人の数が過半数を超えました。

都会には創造性があふれ富が集中しているうえ、エネルギーが効率的に利用され、衛生・栄養・教育・男女同権・医療機関へアクセス・家族計画などに関しておおむね恵まれています。

しかし、都市部居住者は非都市部居住者と比較し、不安障害の罹患率が21%・気分障害の罹患率が39%増大し、総合失調症の罹患率が倍増することが分かっています。

そんな都市部でできることは、身近な場所に自然があることです。

シンガポールでは国をあげて取り組んでおり、国民80%が緑のある場所から400m以内に暮らせるようにたゆまぬ努力を続けています。

エピローグ

ヴァージニア大学でのティモシー・ビートリーは、「ネイチャー・ピラミッド」という考え方を広めようとしています。

どのように自然と接すればいいのかが、ピラミッドを見ると一目でわかります。

  • 底辺:日々触れ合う身近な自然(ペット・庭・観葉植物)
  • 二段目:週に一度は行くべき場所(公園・川)
  • 三段目:月に一度は行くべき場所(森林浴)
  • 最上段:年に一度は行くべき場所(数日間どっぷり自然に浸かる)

『NATURE FIX』を読んで今後勉強すべきこと

勉強

『NATURE FIX』では、自然が最高の脳を作るということが記載されていました。

どれだけ自然が欠乏しており、現代人に必要なのか学んでいきたいです。

まず、現代人のライフスタイルを野生的なスタイルに変更することで得られるメリットが記載れている、ジョン J.レイティの著書である『GO WILD』を読んでみます。

ジョン J.レイティは『脳を鍛えるには運動しかない』の著者でもあり、運動と脳の関係性も勉強したいと思います。

まとめ

『NATURE FIX』を書評・要約のようにまとまっていないかも知れませんがご紹介させていただきました。

ぜひ自然観察などに出て、自然の効能を感じていきたいと思います。

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