建設業は、完成検査後に請負代金支払いが年度末に集中し、それ以外の期間は収入が途絶えてしまいます。
進捗状況に応じた工事代金を請求する「出来高払い」など前払いの制度が整えられていますが、工期が長いと資金繰りが苦しくなりがちです。
工期を圧縮しキャッシュフローを改善したいところですが、下請けに発注する際に逆に前払金を支払うと余計に状態が悪化するので現実的ではありません。
インフレにより労務費・材料費が増加して予算管理が難しくなる中、売掛金を売買する「ファクタリング」が資金調達方法の1つとして挙げられます。
国土交通省も下請債権保全支援事業として推進しており、利用者も年々増加中でぜひ活用したいところです。
建設業向けファクタリング会社を3社に絞って見繕いましたので、ファクタリングの特徴と合わせて紹介します。
目次
ファクタリングとは
ファクタリングとは、売掛金を債権化して第三者(ファクタリング会社)に売却し、支払日以前に売掛金を回収する資金調達手段です。
建設業では受発注者間で「請負契約書」を交わすため、この契約書を利用して建設業者からファクタリング会社に売掛金回収元が移転します。
2020年の民法改正により債権譲渡禁止特約が廃止され、どんな契約書でも対応可能です。
そのため、注文書ファクタリングは不要で「売掛金の存在・売掛企業の信用状態」が審査ポイントになるので、一人親方・創業初期の建設業社などの信用力が低い建設業者でも利用できます。
ファクタリングにより調達した資金は、賃借対照表(バランスシート)上の「負債」にはならないのも良い点です。
財務状況を悪化させることなく資金繰りの改善ができ、表面的な「負債比率」が下がります。
ただし、売掛金を返済の目処に計算している場合があるので、負債をしている金融機関に対しては説明をしておくのが筋になります。
建設業向けファクタリング会社の必須条件
ファクタリング会社が多くある中で、建設業で使うなら必須の条件がいくつかあります。
この点を抑えることで、条件不一致の心配がありません。
【建設業向けファクタリング会社の必須条件】
- 支払いの柔軟性
- 長期の売掛債権に対応
- 2社間ファクタリング可能
支払いの柔軟性
ファクタリング会社は、支払いスピードが早く最短即日がほとんどです。
さらに非対面・オンライン完結に対応しているとより素早い現金化が実現できます。
また、建設業での利用では、買取限度額の柔軟性(下限~上限)の確認は必要です。
請負金額が数百万円~数千万円と大きく、変更契約で数万~数百万円が動きます。
これらの金額に対応可能なファクタリング会社を選定しましょう。
長期の売掛債権に対応
建設業の支払いサイトは長く、半年以上のものがほとんどです。
長期になればなるほど債権回収リスクが高くなるので、慎重に選定されるため審査難易度も高くなります。
そのため、長期の売掛債権を買い取ってくれるファクタリング会社でなくてはなりません。
手数料が安いところは、支払い期日が30⽇〜90⽇と短めの請求書買取が多いので、建設業で利用する際は注意しましょう。
2社間ファクタリング可能
ファクタリングには、「2社間取引」と「3社間取引」があります。
2社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社での取引で、取引先に知らずに現金化できるのが特徴です。
3社間ファクタリングは、利用者とファクタリング会社に取引先の合意を得ることで、債権回収リスクを低減して手数料が低くできます。
3社間が良さそうに思えますが、取引先に資金繰りが苦しいことを知られることで、他の下請けに今後は乗り換えられてしまう可能性があるでしょう。
建設業全体が厳しい状況下なので、元請けは飛ばれるリスクを避けたいものです。
手数料は数%高くなりますが、2社間ファクタリングを選択しましょう。
建設業向け大手ファクタリングおすすめ3選
上記で取り上げた条件で、さらに信頼度の高い大手である以下の3社が特におすすめです。
建設業でファクタリングを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
【建設業向け大手ファクタリングおすすめ3選】
- QuQuMo:ノンリコース契約が特徴
- SOKULA:審査通過率が高いのが特徴
- トップ・マネジメント:業界最大手の安心感
①QuQuMo:ノンリコース契約が特徴
【QuQuMo】は、株式会社アクティブサポートが運営する、売掛金前払いサービスです。
最短2時間で現金化でき、少額から高額まで金額上限なしで柔軟に対応しています。
手数料は1〜14.8%と明示されているので安心です。
必要情報の登録と書類申請などオンライン完結でき、電子契約サービス「クラウドサイン」を用いているのでセキュリティ上の心配はありません。
法人だけでなく一人親方などの個人事業主も取引でき、2社間ファクタリングが基本です。
また、ノンリコース(償還請求権なし)契約での契約なので、売掛先が倒産しても返済義務が発生しません。
申込10分・見積り30分と比較的早く、審査完了後に提示された見積り内容に問題がなければ契約・送金に1時間かかります。
簡単に見積り出せるので、ぜひ買取額・手数料を確認してみてください。
②SOKULA:審査通過率が高いのが特徴
SOKULAは、株式会社アクセルファクターが運営する、売掛金買取サービスです。
2社間・3社間のファクタリングが可能で、手数料は2~15%の間になります。
オンライン審査・原則即日振込など基本的なところは全て整えています。
SOKULA最大の特徴は、独自の審査基準で審査通過率が93%以上と公開されている点です。
個人情報不要で「請求書の金額・請求先の規模・取引方式」の3項目だけで簡単シミュレーションができるので買取可能額を確認してみてください。
③トップ・マネージメント:業界最大手の安心感
トップ・マネジメントは、株式会社トップ・マネジメントが運営する、売掛金買取サービスです。
3〜6ヶ月の支払いサイトに対する長期売掛金の買取りにも完全対応と謳っており、手数料も3.5%~12.5%と上限が抑えられています。
累計45,000件・累計買取高100億円・創業13年の実績を築いており、ファクタリング取引に心配ありません。
10年以上溜め込んできた圧倒的情報量を元に、ファクタリングと同時進行型の助成金の提案など売上高・財務体制の改善にも参画してくれます。
電話でも対応可能で親身になって取り組んでくれるので、ファクタリングを利用するのが不安な方には大変おすすめです。
まとめ
【建設業向け大手ファクタリングおすすめ3選】
- QuQuMo:ノンリコース契約が特徴
- SOKULA:審査通過率が高いのが特徴
- トップ・マネジメント:業界最大手の安心感
ファクタリングの特徴と合わせて、建設業向けファクタリング会社を3社を紹介しました。
金融機関の融資やビジネスローン以外で資金調達できる方法がファクタリングです。
紹介しました特徴を精査して頂いて、ぜひファクタリングの利用をご検討ください。