農業を生業として生きていくためには、経営者の視点はとても必要です。
勉強方法として、業界セミナー・先進地訪問・普及員による指導などありますが、私は本・業界誌・論文などを用いて勉強しています。
その一環として『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』を読みましたので、書評・要約のように綺麗に整理できていませんが、感想・勉強になった内容をまとめてみます。
目次
『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』とは?
読みやすさ | |
---|---|
専門性 | |
役立ち度 |
- 著者:シバタナオキ
- 出版社:日経BP
- 発売日:2017/7/13
- ページ数:304ページ
【目次】
- 第1章:決算が読めるようになると何が変わるのか?
- 第2章:ECビジネスの決算
- 第3章:FinTechビジネスの決算
- 第4章:広告ビジネスの決算
- 第5章:個人課金ビジネスの決算
- 第6章:携帯キャリアの決算
- 第7章:企業買収(M&A)と決算
- 終章:決算を読む習慣をつける方法
『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』は、「数字が読めない」と悩む人のために、無味乾燥な数字の羅列に見える決算書から、その背景にある業界・企業ごとのストーリーを読み解く術を惜しみなく披露している本です。
著者は元・楽天株式会社執行役員で、「note」で「決算が読めるようになるノート」を連載しており、そのnoteの内容を再編集したものです。
数字と背景にあるストーリーを読み解くことで、決算を読むことが楽しくなり、習慣化され、視野が広がります。
『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』を読んで勉強になったこと
『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』はとても読みやすいように
- 扉ページ:各ビジネスモデルの「方程式」と「決算を読み解く3step」
- 最初の節:各ビジネスモデルの「決算を読むコツ」
- 残りの節:コツに則った具体的な決算読解の「実演」
と工夫されています。
章ごとにまとめさせていただきます。
第1章:決算が読めるようになると何が変わるのか?
この章でわかることは、会計の素人でも決算を上手に読むための10カ条です。
- 他人の家庭の家計簿を覗くつもりで読む
- 必要なのは四則演算のみ
- 決算短信ではなく、決算説明会資料から読む
- 企業の「将来」を予想しようとする前に「過去」を正確に理解する
- 各ビジネスの構造を数式で理解する
- 各ビジネスの主要な数字を暗記する
- 徹底的な因数分解で「ユニットエコノミクス」を計算する
- 成長率(対前年比/YOY)を必ず確認する
- 1社だけではなく、類似企業の決算も分析・比較する
- 類似企業間の違いを説明できるようになる
第2章:ECビジネスの決算
【押さえておきたい方程式】
ネット売上=取扱高×テイクレイト(take rate)
取扱高のことを流通総額・GMS(Gross Merchandize Sales)・GMV(Gross Merchandize Volume)などと表記される場合があります。
「取扱高=購買単価×購買頻度」とも分解できます。
また、テイクレイトもマネタイゼーションレイト(Monetization Rate)などと表記される場合があります。
これらのことが、Amazon・ヤフー・楽天などの事例が紹介されていました。
ECビジネスの決算を読み解く3step
- 各サービスの「取扱高」をチェック
- 取扱高とネット売上から「テイクレイト」を算出
- 取扱高ちテイクレイト改善のための打ち手を確認
第3章:FinTechビジネスの決算
【押さえておきたい方程式】
- 売上収益=預金残高×金利
- 売上収益=貸付残高×金利
- 売上収益=取扱高×手数料パーセント
FinTechが提供する機能は
- お金を預かる機能
- お金を貸す機能
- 決済・送金をする機能
- ソフトウェア・SaaS
になり、それに合わせて収益の源泉がフローかストックかをチェックすることが大事になります。
これらのことが、PayPal・Square・リクルートなどの事例が紹介されていました。
FinTechビジネスの決算を読み解く3step
- 各サービスが何で収益を上げるモデルかを確認
- ビジネスモデルごとに使われる「公式」をチェック
- 公式にあてはまる指標を決算からピックアップ
第4章:広告ビジネスの決算
【押さえておきたい方程式】
- 売上=ユーザー数×ユーザーあたりの売上(ARPU)
広告媒体としての魅力は、アクティブユーザー数で決まります。
企業は、1日あたりのアクティブユーザー数DAU(Dailly Active Users)・1週間あたりのアクティブユーザー数WAU(Weekly Active Users)・1ヶ月あたりのアクティブユーザー数MAU(Monthly Active Users)などを発表しており、この数値を利用します。
これらのことが、テレビ業界・Facebook・LINE・AbemaTVなどが事例として紹介されていました。
広告ビジネスの決算を読み解く3step
- ユーザー数(特にアクティブはユーザー数)をチェック
- 売上をユーザー数で割り算してARPUを算出
- ARPUを類似サービスや競合と比較
第5章:個人課金ビジネスの決算
【押さえておきたい方程式】
- 売上=広告売上+課金売上
- ユーザーあたりの売上(ARPU)=広告ARPU+課金ARPU
個人課金ビジネスの中でも近年特に成長しているのが、継続課金型のビジネス、サブスクリプション型ビジネスです。
日本では、個人課金型と広告型のハイブリッドがビジネスモデルとして多いです。
これらのことが、Netflix・Spotify・クックパッドなどが事例として紹介されていました。
個人課金ビジネスの決算を読み解く3step
- ARPUを広告ARPUと課金ARPUに分解
- 課金ユーザー数を増やすための施策を確認
- 課金ARPUを増やすための施策を確認
第6章:携帯キャリアの決算
【押さえておきたい方程式】
- ユーザーあたりの売上(ARPU)=音声ARPU+データARPU+サービスARPU
音声ARPUとは通話料に相当する部分、データARPUとはデータ通信量に相当する部分です。
しかし、これらでは差別化が図れないため、サービスARPUが重要になってきます。
携帯キャリア市場は、ユーザー数もARPUも増やすのが非常に困難なのです。
これらのことが、3大キャリアであるNTTドコモ・KDDI・ソフトバンクやMVNOなどの事例が紹介されています。
携帯キャリアの決算を読み解く3step
- ユーザーあたりの売上を3つのARPUに分解
- 3つのARPUのうち、どのARPUが伸びているかを確認
- 上記を踏まえて、各社の差別化戦略に注目
第7章:企業買収(M&A)と決算
【押さえておきたい方程式】
- 売上マルチプル=買収金額÷売上
- 営業利益マルチプル=買収金額÷営業利益
- のれん代=買収金額ー買収対象の純資産額
マルチプルとは、買収金額が売上・営業利益の何倍にあたるのかを示し、成長率の大きさなどをはかることができます。
また、買収企業の簿価と買収金額との差額は「のれん代」として、ルールに則って減価償却されます。
これらのことが、LinkedInをMicrosoftが買収した事例・Yahoo!の事業売却などの事例が紹介されています。
M&Aをした企業の決算を読み解く3step
- 買収する会社の売上や営業利益をチェック
- その後に、買収金額でマルチプルを算出
- 買収後は、のれん代の償却状況を確認
『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』を読んで今後勉強すべきこと
『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』を参考にして、決算書から見える会社状況の捉え方が分かりました。
農業にも経営的な視点を持たな無くてはいけないと感じています。
農業経営において、マーケティングの視点は必須であり、『農業のマーケティング教科書』でしっかり勉強します。
まとめ
『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』を書評・要約のようにまとまっていないかも知れませんが紹介しました。
自身の事業の状況について、考えるきっかけになりました。
より優れた農家になるために、色々な本を読んでみたいと思います。