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『Search Inside Yourself』で瞑想を学ぶ

『Search Inside Yourself』で瞑想を学ぶ
記事内に商品プロモーションを含みます。

民俗学の学ぶならば、禅が「美術・文学・建築・思想」などにもたらした影響について考えなければなりません。

禅について学ぶためにたくさんの本を読んでおりいます。

その一環として『Search Inside Yourself』を読みましたので、書評・要約のように綺麗に整理できていませんが、感想・勉強になった内容をまとめてみます。

『Search Inside Yourself』とは?

読みやすさ
専門性
役立ち度
  • 著者チャディー・メン・タン (著)・ 一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート (監修)・柴田裕之 (翻訳)
  • 出版社:英治出版
  • 発売日:2016/5/17
  • ページ数:376ページ

<目次>

  • イントロダクション サーチ・インサイド・ユアセルフ
  • 1 エンジニアでさえEQで成功できる―EQとは何か、EQはどうやって育めばいいか
  • 2 命がかかっているかのように呼吸をする―マインドフルネス瞑想の理論と実践
  • 3 座らないでやるマインドフルネス・エクササイズ―マインドフルネスの恩恵を座った姿勢以外にも広げる
  • 4 100パーセント自然でオーガニックな自信―自信につながる自己認識
  • 5 情動を馬のように乗りこなす―自己統制の力を伸ばす
  • 6 利益をあげ、海を漕ぎ渡り、世界を変える―セルフモチベーションの技術
  • 7 共感と、脳のタンゴ―相手を理解し、心を通わせることを通して共感を育む
  • 8 有能であってしかも人に愛される―リーダーシップと社会的技能
  • 9 世界平和への三つの簡単なステップ―SIYの裏話
  • エピローグ 空き時間に世界を救おう

『Search Inside Yourself』は、Google内で熱狂的に支持され、SAP、アメリカン・エキスプレス、LinkedInなど他の企業や大学にも次々に採用されている「マインドフルネス」研修プログラムを書籍化したものです。

心を整える手法「マインドフルネス」をベースに情動的知能を高めるプログラムで、科学に基づいて日々実践しやすい形にされています。

著者のチャディー・メン・タンは、Googleで「陽気な善人」という独自の肩書をもって同社の人材育成に大きく貢献した後、ノーベル平和賞に7度ノミネートされたOne Billion Acts of Peaceの共同議長も務めています。

『Search Inside Yourself』を読んで勉強になったこと

勉強

『Search Inside Yourself』は、マインドフルネスを実践するための入門書のような1冊です。

主にマインドフルネスを用いて、EQ(情動的知能)を高めることに着目されています。

マインドフルネスで「己の内を探る」ことで、人生が大きく変わります。

本書の重要だと思った箇所を章ごとにまとめてみます。

イントロダクション サーチ・インサイド・ユアセルフ

「Search Inside Yourself」のプログラムは、3つのトレーニングからなります。

  1. 注意力のトレーニング
  2. 自己認識と自制
  3. 役に立つ心の習慣の創出

1 エンジニアでさえEQで成功できる―EQとは何か、EQはどうやって育めばいいか

「EQとは、自分自身と他人の気持ちや情動をモニターし、見分け、その情報を使って自分の思考や行動を導く能力」であると、EQの理論的な枠組みの父と広く見なされているピーター・サロベイとジョン・D・メイヤーによって定義されています。

また、ダニエル・ゴールマンによって、EQは5つの領域に分類されています。

  1. 自己認識:自分の内面の状態、好み、資質、直感を知ること
  2. 自己統制:自分の内面の状態、好み、資質を管理すること
  3. モチベーション:目的達成をもたらしたり助けたりする情動的な傾向
  4. 共感:他人の気持ち、欲求、関心を認識すること
  5. 社会的技能:他人から望ましい反応を引き出すのに熟達していること

EQの恩恵として、「優れた職務遂行能力・抜群のリーダーシップ・幸せのお膳立てをする能力」を発揮することができます。

穏やかさや明瞭さをもたらす強くて安定した鋭敏な注意を自分の体に向けることで、EQを築き挙げる土台となります

2 命がかかっているかのように呼吸をする―マインドフルネス瞑想の理論と実践

エクササイズ マインドフルネス瞑想

 楽な姿勢で座るところから始めましょう。リラックスして、しかも隙がない状態(それが意味するところは、人それぞれですが)になれる姿勢で座ってください。堂々とした山のように座りたければ(これが意味するところも、人それぞれですが)、それでもかまいません。
では、ゆっくり三回深呼吸し、エネルギーとリラクセーションの両方をこの練習に注入しましょう。
今度は自然に呼吸し、とても穏やかに注意を呼吸に向けます。鼻の穴か、お腹か、呼吸する体全体(これが意味するところも、人それぞれでしょうが)に注意を向ければいいのです。吸気と呼気、そのあいだの間を意識してください。
(ここで少し間を置く)

 このエクササイズを、心の呼吸の上に置くというふうに考えたければ、そうしてもかまいません。呼吸が休息の場所かクッション、あるいはマットレスであるかのように想像し、その上でそっと心を休ませます。あるがままに、そこにいるようにします。
 (ここで長い間を置く)

 感覚や考えや音によっていつ気が散っても、ただそれを認め、経験し、とても優しくそれを話してあげましょう。それから、そっと注意を呼吸に戻します。
 (ここで長い間を置く)

 お望みなら、喜ばしい内面の平穏が沸き起こるように促して、この瞑想を終わりにしましょう。
 息を吸い込みます。私は穏やかです。
 息を吐き出します。そして微笑みます。
 今のこの瞬間は
 素晴らしい。
 (ここで少し間を置く)

おつかれさまでした。

出典:『Search Inside Yourself』 p82~83

マインドフルネスでは、注意とメタ注意(注意に対する注意)を鍛えることができます。

マインドフルネス瞑想のプロセスは、

  • 意図:マインドフルネスで居たいと望む理由を生み出す
  • 呼吸をたどる:呼吸のプロセスにそっと注意を向け、フローに入る
  • 気が散る:思いを巡らす
  • 再び注意を集中する注意を元に戻し、自分の態度を自覚する

を辿ることをします。

瞑想姿勢は「隙がなく、リラックした状態を長時間保てる姿勢」で、好きな姿勢をしていて構いません。

瞑想家によって何千年もかけて開発された伝統的な姿勢「毘廬七支坐法」を参考にできます。

  1. 「矢のように」背筋をまっすぐ伸ばす
  2. 「蓮華座」に足を組む
  3. 肩の力を抜き、「ハゲワシのように」高く、引きぎみにする
  4. あごは「鉄のフックのように」心もち引く
  5. 目を閉じる。あるいは、虚空を見つめる
  6. 舌は口蓋につける
  7. 口をわずかに開き、歯は噛みしめない

3 座らないでやるマインドフルネス・エクササイズ―マインドフルネスの恩恵を座った姿勢以外にも広げる

マインドフルネスの恩恵を、座っている状態から人生のあらゆる部分へと広げるなくてはなりません。

どんな課題をこなしているときにも、評価や判断とは縁のない心を持って、一瞬一瞬の注意をすべて向け、注意がそれだすたびに、ただそっともとに戻します。

単純なものとして、歩く瞑想がまず紹介されています。

エクササイズ 歩く瞑想

 まず、じっと立ちます。そして、体に注意を向けます。床や地面についている足にかかる圧力を意識しましょう。少し時間をかけて、床や地面に立っている体を経験します。
 次に、一歩前に踏み出してください。注意しながら片足を上げ、注意しながらその足を前に進め、注意しながら自分の前にしっかりと下ろし、注意しながら体重をその足に移します。少し間を置き、今度はもう一方の足で同じようにします。
 お望みなら、足を上げるときに、「上げている、上げている、上げている」と自分に向かって心の中で繰り返し、足を前に動かしてしっかり下ろすときには、「動いている、動いている、動いている」とやはり自分に向かって心の中で繰り返してもかまいません。
 何歩か歩いたら、止まって向きを変えます。止まることにするときには、少し間を置いて、立っている姿勢にある自分の体に注意を払いましょう。お望みなら、「立っている、立っている、立っている」と自分に向かって心の中で繰り返してもかまいません。向きを変えるときにも、注意しながらやり、やはりお望みなら、「向きを変えている、向きを変えている、向きを変えている」と心の中で繰り返してもいいでしょう。
 お望みなら、自分の動きを呼吸と合わせてもかまいません。足を上げるときに息を吸い込み、動かすときと、しっかり下ろすときには吐き出します。こうすると、穏やかさをこの経験に注ぎ込みやすくなります。

出典:『Search Inside Yourself』 p97~98

また、マインドフルな会話をすることでも、マインドフルネスの練習になります。

マインドフルな会話には鍵となる要素が3つあります。

  1. マインドフルなリスニング:他人に注意を向けるため、耳を傾ける
  2. ルーピング:コミュニケーションをループさせる
  3. ディッピング:自分自身と会話すること

耳を傾けるために「中心注意」を話し手に向け、同時に、ディッピングするために「周辺注意」を自分自身に向け続けることが可能です。

エクササイズ マインドフルな会話のフォーマルな練習

 この技能は、リスニングとルーピングとディッピングという三つの部分から成ります。リスニングというのは、注意という贈り物を話し手に与えることです。ルーピングとは、相手の話をあなたがほんとうに聞いていたことを示し、それによって会話のループを完結させることです。すべてを記憶にとどめようとする必要はありません。ほんとうに耳を傾けていれば、全て聴き取れますから。ディッピングとは、自分自身と会話すること、耳にしている内容について自分がどう感じているかを知ることです。この練習では、話し手に注意をすべて向けつつ、自分自身の気持ちを完全に自覚できるようになることが大切です。

やり方

パート1 ひとり語り
 A3が四分間、ひとりで話します。話している時は、マインドフルネスの一部を体に向け続けます(これがディッピングです)。この四分間はすべてAさんのものですから、言うことがなくなったら、聴き手といっしょに、黙って座っていてかまいません。やがて、何かほかにも言うことが見つかったら、それをそのまま口に出します。
 Bさんは耳を傾けます。自分の注意をすべて贈り物として話し手に与え、同時に、マインドフルネスの一部を自分の体に向け続けます(これまたディッピングの部分です)。Bさんは、自分の体を自覚するのをやめることなく、Aさんに自分の注意という贈り物を与えているのです。Bさんは、聴いているという意思表示をしてもかまいませんが、やりすぎないようにします。そのような意思表示する以外は、口を利いてはいけません。

パート2 分析

 そのあとBさんは自分が聞いたと思うことをAさんに向かって繰り返します。たとえば、「あなたはこういうことを言ったと思うのですが…」というふうに切り出します…それを受けて、Aさんはすぐにフィードバックを行ない、正しく理解してもらえたと思うことや誤解されたり聞き逃したりしたと思うことを伝えます。AさんがBさんに完全に理解してもらえたと納得できるまで、これを繰り返します。六分間を上限に、必要なだけ時間をかけます(これがルーピングの部分)。
 次に役割を交替し、Bさんは話し手に、Aさんが聴き手になります。
 それから、このエクササイズで経験したことについて、四分間、メタ会話をしてください。
 以下に会話の候補を挙げておきます。
 ・自己査定。自分自身の印象や、好きなもの、変えたいことなど。
 ・最近あるいはずっと以前に起こった厄介な状況で、話してみたいもの。
 自分にとって有意義な話題なら、ほかのどんなものでもかまいません。

出典:『Search Inside Yourself』 p107~108

4 100パーセント自然でオーガニックな自信―自信につながる自己認識

EQの5つの領域「自己認識・自己統制・モチベーション・共感・社会的技能」における、「自己認識」がこの章で取り扱われています。

ダニエル・ゴールマンは、自己認識の領域には3つの情動的能力があると定義しています。

「情動の自覚」→「正確な自己査定」→「自信」

自信は、自惚れは異なり、必要なときにはエゴを活かせるが、他人の話に耳を傾けてまったく新しいことを学ぶためなら、その必要に応じて押さえ込むこともできます。

その起点となる情動の自覚を強めるには、自分の情動経験を念入りに調べなくてはいけません。

情動を高解像度で自覚するには、マインドフルネスを体に向ける「ボディ・スキャン」があります。

エクササイズ ボディ・スキャン

 注意を集中させる
二分間くつろいで座ることから始めましょう。(それが何を意味するかは人それぞれでしょうが)リラックスできてしかも隙のない状態になれる姿勢をとります。

 今度は自然に呼吸し、とても穏やかな注意を呼吸に向けます。鼻の穴か、お腹か、呼吸する体全体(これが意味するところも、人それぞれでしょうが)に注意を向ければいいのです。呼気と吸気と、そのあいだの間も意識してください。

 体をスキャンする
・頭
 さあ、頭のてっぺん、耳、頭の後ろ側に注意を向けます。感覚(あるいは感覚の欠如)に一分間注目してください。
・頭
 今度は注意を顔に移しましょう。額、目、頬、鼻、唇、口、口の中(歯肉と舌)に一分間注目してください。
・首と肩
 首、喉の内側、肩に注意を一分間移しましょう。
・背中と腰
 背中の上のほう、中ほど、腰に注意を一分間移しましょう。背中は体重の多くを担い、緊張の多くがたまっています。ですから、それに見合った、優しい、愛情のこもった注意を背中と腰に向けましょう。
・胸と腹
 次に、胸とお腹に注意を一分間移します。可能なら、(それが何を意味するかは人それぞれでしょうが)内臓にも注意を向けようとしてみてください。
・全身同時に
 さあ、今度は、全身に同時に注意を一分間向けましょう。

情動を探してスキャンする
 体の中に何か情動は見つかりましたか?見つかったら、体の中でのその情動の存在に、ただ注目してください。もし、見つからなかったら、情動がないことにただ注目し、次の二分間に湧き起こったら、それを捉えましょう。

・ポジティブな情動
 今度は、体の中のポジティブな情動を経験するようにしてみましょう。
 幸せで喜びにあふれた出来事か、自分が最大限に力を発揮して生産的だったときか、自信を感じたときの記憶を頭に蘇らせてください。
 ポジティブな情動の感覚を経験しましょう。次に、注意を体に向けます。ポジティブな感情は、体の中ではどんなふうに感じられますか?顔では?首や胸や背中では?呼吸はどうなっていますか?緊張のレベルに変化はありますか?三分間、ひたすらそれを経験しましょう。

もとの状態に戻る
 ここで現在に戻りましょう。もし情動にあふれた考えが見つかったら、ただ放してやってください。
 注意を体か呼吸のどちらかに向けます。心が安定するほうを選んでください。そして、二分間、ただそこに心を落ち着けていましょう。
(ここで長い間を置く)
おつかれさまでした。

出典:『Search Inside Yourself』 p147~149

また、心の中にありながら、明瞭で意識ある眺めには入っていないものを発見するのを助ける「ジャーナリング」というエクササイズも紹介されています。

ジャーナリングとは、自分に向けて書くことで自己発見する練習です。

制限時間内に、頭に浮かんだことを何でもいいから書き、書くことがない場合でもただ「書くことがない」と書き続けます。

エクササイズ 自己査定のためのジャーナリング

 導入
 ジャーナリングを始める前に、心の準備をしておきましょう。
 難しい状況にポジティブに対応し、結果にとても満足できた例をひとつ、あるいはいくつか思い出し、それについて二分間考えてください。よくやったと感じたでしょう。いくつかの例を考えているのなら、結びつきやパターンが何か見えてこないか考えてみてください。
 次に、少し時間をとって、心をリラックスさせます。
(ここで三〇秒、間を置く)

 ジャーナル
 きっかけとなる話題(一項目あたり、二分)
 ・私を愉快にしてくれるのは…
 ・私の長所は…

 導入
 今度は難しい状況にネガティブに対応し、結果にとても不満足だった例をひとつ、あるいはいくつか思い出し、それについて二分間考えてください。しくじったと感じたでしょう。そして、やり直したらいいのにと願っているでしょう。いくつかの例を考えているのなら、結びつきやパターンが何か見えてこないか考えてみてください。
 次に、少し時間をとって、心をリラックスさせます。
(ここで三〇秒、間を置く)

ジャーナル
 きっかけとなる話題(一項目あたり、二分)
 ・私をいら立たせるのは…
 ・私の短所は…

しばらく時間をかけて、自分に向けて書いたことを読んでみましょう。

出典:『Search Inside Yourself』 p157~158

5 情動を馬のように乗りこなす―自己統制の力を伸ばす

EQの5つの領域「自己認識・自己統制・モチベーション・共感・社会的技能」における、「自己統制」がこの章で取り扱われています。

ダニエル・ゴールマンは、自己統制を5つの情動的能力で表しています。

  • 自制心:破壊的な情動や衝動を抑える
  • 信頼性:正直さと誠実さの基準を維持する
  • 良心性:自分の振る舞いに責任をとる
  • 適応性:変化に柔軟に適応する
  • 革新性:新奇な考え方やアプローチや新しい情報を気兼ねなく受け入れる

これらの能力の根底には、選択権という共通点があり、衝動から洗濯に移れば5つの能力を全て発揮することができます。

忌まわしい思考・情動が湧き起こるのは防げないが、それを手放す能力は持っているし、鍛錬を積んだ心なら湧き起こるそばから手放せます。

悩ましい情動に対処するための一般原理が4つあります。

  1. 痛みがないときを知る
  2. いやになることにいやにならない
  3. 怪物どもに餌をやらない
  4. あらゆる思考を優しさとユーモアをもって始める

些細な事柄が不釣り合いなまでに大きな情動反応を引き起こすことをトリガーといい、ネガティブな情動を引き起こします。

これらに対処するための練習が記載されています。

エクササイズ シベリア北鉄道

 注意を集中させる
 まず、三回深呼吸をしましょう。
穏やかな意識を呼吸に向けます。吸気と呼気と、そのあいだの間に注意を向けてください。

 ネガティブな情動
 ここで二分間、ネガティブな情動にギアを入れ替えます。
 不幸せな出来事、いら立った利り、腹が立ったり、傷ついたりした経験、或いはトリガーされた経験の記憶を思い起こしましょう。
 その出来事と、それに心の中で結びついている情動を追体験できるかどうか、試してください。

 ネガティブな情動を管理する
 今度は、反応するための戦略を頭の中で七分間練習します。
 最初のふたつのステップは、停止することと呼吸することです。トリガーされ始めたら、そこで停止するのが聖なる中断です。心を呼吸に集中し、情動に反応しないことで、この中断を強化しましょう。お望みなら、ゆっくりとした深呼吸を試してみてください。そして、この中断状態にあと三〇秒とどまりましょう。
(ここで三〇秒、間を置く)

 次のステップは、気づくことです。情動を体で経験することで、気づきます。注意を体に向けましょう。苦しみを与える情動は、体の中でどのように感じられますか?顔では?首や肩、胸、背中ではどうでしょう?緊張や体温のレベルでは変化がないでしょうか?
 評価や判断をせずに、それを経験してください。この時点で最も重要なのは、自分の存在にかかわる現象としてではなくたんに生理的な現象として情動的な難しさを経験しようとすることです。たとえば、「私は怒りそのものだ」ではなく、「私は体で怒りを経験している」というふうに捉えるのです。
 一分間かけて、情動の生理的な作用を体で経験しましょう。
(ここで一分間、間を置く)

 さあ、今度はよく考えましょう。
 この情動はどこから来ていますか?その裏には何か過去があるのでしようか?この経験にほかの人がかかわっていたら、その人の立場に立って自分を眺めてみましょう。次の言葉について考えてください。「誰も幸せになりたいと望んでいる。この人は、このように振る舞うと何らかの形で幸せになれると考えている」。正しいとか間違っているとか判断せずに、大局的に眺めてみましょう。
(ここで三〇秒、間を置く)

 次に反応します。
 目の前の状況にポジティブな結果をもたらしそうな反応のしかたを思い浮かべてください。たとえ実行しなくてもいいですから、一番優しくポジティブな反応を、ただ想像するのです。それはどのような反応でしょうか?一分ほどかけて、その反応を生み出しましょう。
(ここで一分間、間を置く)

 もとの状態に戻る
 ここで、現在の状態に二分間戻ります。意識してを呼吸に戻してください。
(ここで少し、間を置く)

 片手をぎゅっと握りしめ、残っている情動をすべてつかみます。それから、ゆっくりとてを開いて、その情動のエネルギーを放してやります。
 そして、また注意を体か呼吸のどちらか、あなたの心が安定するほうに向けてください。
 それから、一分が過ぎるまで、心をただそこに落ち着けておきましょう。

出典:『Search Inside Yourself』 p183~186

6 利益をあげ、海を漕ぎ渡り、世界を変える―セルフモチベーションの技術

EQの5つの領域「自己認識・自己統制・モチベーション・共感・社会的技能」における、「モチベーション」がこの章で取り扱われています。

モチベーションを高めるため、3つのステップがあります。

  1. 整合性:自分の仕事の価値感や崇高な目標とを整合させる
  2. 想像:自分にとって望ましい未来を思い描く
  3. 回復力:自分の行く手に待ち受ける障害を克服する能力

「整合性」は、自己認識の上に成り立っているので、自分自身を深いレベルで知ると、自分の核となる「価値観・目標・優先事項」がわかってきます。

エクササイズ 価値観と崇高な目標を発見する

 自宅でひとりでこれに取り組んでいるときには、ジャーナリングのエクササイズ(第4章を参照)を、次に挙げたきっかけとなる話題の一方或いは両方について数分間やってください。

 ・私の核となる価値観は…
 ・私という人間は…

 あるいは、いっしょにやってくれる友人や家族がいるときには(ラッキーですね)、二、三人でグループになり、「マインドフル・リスニング」のエクササイズ(第3章参照)をやってください。交替で話します。まず話し手がひとりで話し(長さは自由)、次に、グループで自由会話をし、聴き手が正確に理解するために質問したり、短く意見を述べたりします。この会話にはひとつだけ規則があります。最初の話し手に優先権があり、その人が優先的に話すことができ、話し始めたら、ほかの人は割り込んではいけません。
 ひとり語りの話題の候補を挙げておきます。

 ・あなたの核となる価値観はどんなものですか?
 ・あなたはどういう人ですか?

 全員に話す機会が回ったら、メタ会話をして、それぞれにとって、この経験がどんなものだったかを話し合いましょう。

出典:『Search Inside Yourself』 p212~213

「想像」は、理想の未来がすでに達成しかけている自分の姿を思い描ければ、達成するのがずっとやさしくなるという発想です。

エクササイズ 自分の理想の未来を見つける

これは書くエクササイズです。私たちの普通の書くエクササイズよりも長く、七分かけてやります。きっかけとなる話題はひとつしかありません。このエクササイズはとてもおもしろく、大きな満足感が得られることでしょう。

 きっかけとなる話題
 きょうから自分の人生で、何もかもが自分の一番楽観的な期待を満たしたり、それを上回ったりしたら、五年後の私の人生はどうなっているのか?

 頭に浮かぶイメージが詳しいほど、このエクササイズはうまくいきます。ですから、書く前に、次の質問について考えましょう。未来には

・あなたは何になって、何をしているか?
・どう感じているか?
・人々は、あなたについて何と言っているか?

書く前に一分間、黙って考えてみましょう。
(ここで一分、間を置く)

書き始めてください

出典:『Search Inside Yourself』 p217~218

「回復力」とは、自分の行く手に待ち受ける障害を克服する能力のことです。

エクササイズ 回復力の瞑想

 心を穏やかにする
 まず、深呼吸を三回します。
 穏やかな意識を呼吸に向け、吸気と呼気とそのあいだの間に意識してください。
 体に注意を向けます。足の感覚に集中するところから始め、脚、膝、骨盤、胸、腕、肩、背中、首、後頭部、顔の感覚に順番に集中します。
(ここで長い間を置く)

 失敗
 ここでギアを入れ替え、失敗の経験に四分間取り組みましょう。
 大失敗している感覚を経験した出来事の記憶を頭に浮かべてください。目標を達成できず、自分自身もほかの人たちががっかりさせた経験の記憶を。そのときの光景を目に浮かべ、音声を耳に蘇らせ、感覚を味わい直してください。
 それに結びついている情動をすべて観察し、これらの情動が体の中にどう現れるか確認します。
(ここで二分、間を置く)

 これらの情動をすべて、嫌悪抜きで経験する能力を生み出せるかどうか、やってみましょう。
 あなたが経験しているこれらの情動は、たんなる生理的感覚だと考えます。ただそれだけです。不愉快かもしれませんが、たんなる経験にすぎません。これらの経験がそこに存在すること、現れたければ現れ消えたければ消えることを、許すだけでいいのです。優しく、穏やかで、寛大なやり方で、ただ好きなようにさせてあげてください。
(ここで長い間を置く)

 成功
 今後はもっと楽しむことにしてギアを入れ替え、成功の経験に四分間取り組みましょう。
 大成功の感覚を経験した出来事の記憶を頭に浮かべてください。目標をしのぐ成果をあげ、みんなから称賛され、自分におおいに満足したときのことを。そのときの光景を目に浮かべ、音声を耳に蘇らせ、感覚を味わい直してください。
 それに結びついている情動をすべて観察し、これらの情動が体の中にどう現れるか確認します。
(ここで二分、間を置く)

 これらの情動をすべて、執着抜きで経験する能力を生み出せるかどうか、やってみましょう。
 あなたが経験しているこれらの情動は、たんなる生理的感覚だと考えます。ただ、それだけです。愉快かもしれませんが、たんなる経験にすぎません。これらの経験がそこに存在すること、現れたければ現れ、消えたければ消えることを、許すだけでいいのです。優しく、穏やかで、寛大なやり方で、ただ好きなようにさせてあげてください。
(ここで長い間を置く)

 穏やかな状態に戻る
 今度は三分間、現在に戻ります。体を点検し、どんな感じがしているか確認しましょう。
(ここで間を置く)

 大きく息を吸い込み、吐き出します。リラックスした注意を呼吸に向け続け、お望みなら、片手を胸に当ててもかまいません。
(ここで間を置く)

体の中で何が起こるかを気をつけ続けながら、ゆっくりと目を開けてください。
おつかれさまでした。

出典:『Search Inside Yourself』 p224~227

7 共感と、脳のタンゴ―相手を理解し、心を通わせることを通して共感を育む

EQの5つの領域「自己認識・自己統制・モチベーション・共感・社会的技能」における、「共感」がこの章で取り扱われています。

ここまでは内省的知能についてでしたが、ここからは対人的知能です。

共感は、他人の生理的状態を真似ることで生じ、優しさとともに深まります。

愛情に満ちた優しさの練習は、「メッタ・バーヴァナー」と呼ばれる古い練習を手直ししたものです。

エクササイズ 「私とまったく同じ」と「愛情に満ちた優しさ」の瞑想

 準備
 リラックスしていて、しかも隙のない状態になれるような楽な姿勢で座ります。まず、二分かけて心を呼吸の上に落ち着かせてください。
 あなたにとって大切な人を思い浮かべましょう。その人の姿を思い描きます。お望みなら、その人の写真やビデオを使ってもかまいません。
 今後は、以下の台本をゆっくり自分に読み聞かせましょう。文が終わるごとに間を置いて、反復してください。

 私とまったく同じ
 この人は私とまったく同じで、体と心をもっている。
 この人は私とまったく同じで、気持ちや情動、考えをもっている。
 この人は私とまったく同じで、これまでの人生で、悲しかったり、がっかりしたり、怒ったり、傷ついたり、うろたえたりしたことがある。
 この人は私とまったく同じで、これまでの人生で、身体的な痛みや苦しみや情動的な痛みや苦しみも経験してきた。
 この人は私とまったく同じで、痛みと苦しみから解放されたいと願っている。
 この人は私とまったく同じで、健康で人に愛され、充実した人間関係をもちたいと願っている。
 この人は私とまったく同じで、幸せになりたいと願っている。
 それでは、何か願いが湧き起こるのにまかせましょう。

 愛情に満ちた優しさ
 この人が人生のさまざまな困難を乗り切れるような、強さや資質、情動的支援、社会的支援が得られますように。
 この人が痛みや苦しみから解放されますように。
 この人が幸せになりますように。
 この人は私とまったく同じで、人類の一員だから。
(ここで間を置く)

 そして、私の知っている人がみな幸せになりますように。
(ここで長い間を置く)

 結び
 一分間心を休めておしまいにしましょう。

出典:『Search Inside Yourself』 p249~251

一対一の交流のための共感技能を学び終えたら、組織の情動の流れと力関係を読む能力を鍛えます。

当事者それぞれの視点を客観的に眺める必要があります。

エクササイズ 政治的意識のエクササイズ

これは、書くエクササイズとしても、話すエクササイズとしてもやれます。話すエクササイズとしてやるときには、友人に話せばいいでしょう。

やり方

1 対立あるいは意見の衝突を伴う、現在あるいは過去の難しい状況を思い浮かべます。現実の出来事で、自分にとって意味があり、自分に影響を及ぼすものがいいでしょう。

2 自分が一〇〇パーセント正しく、理にかなっているかのように、その状況を説明してください。それについて、書くか、ひとり語りで語るかして説明します。

3 今度は相手が一〇〇パーセント正しく、理にかなっているかのように、その状況を説明してください。それについて、書くか、ひとり語りで語るかして説明します。

友人を相手に、話すエクササイズとしてやったときは、あなたのひとり語りの内容について、自由進行の会話で話し合いましょう。

出典:『Search Inside Yourself』 p276~277

8 有能であってしかも人に愛される―リーダーシップと社会的技能

EQの5つの領域「自己認識・自己統制・モチベーション・共感・社会的技能」における、「社会的技能」がこの章で取り扱われています。

社会的技能として、「思いやりのあるリーダーシップ・善意に基づく影響力の行使・洞察力にあふれたコミュニケーション」が挙げられます。

思いやりがとても有能なリーダーシップを生み出すのは、「私」から「私たち」への移行が起こるからです。

この思いやりは、善良さを伸ばすことで鍛えることができます。

エクササイズ 善良さが増す瞑想

 心を落ち着ける
 まず二分間、心を呼吸に集中させてください。

 善良さを増す
 今度は、愛情や思いやり、利他主義、内なる喜びといった、自分の中に善良さに心を向けましょう。お望みなら、自分の善良さがほのかな白い光として体から放射されているところを視覚化してもかまいません。
(ここで少し間を置く)

 息を吸い込むときには、あなたの善良さをすべて心の中に吸い込みます。心を使って、その善良さを一〇倍にしてください。そして、息を吐き出すときには、その善良さを全世界に向けてそっくり吐き出します。お望みなら、この豊富な善良さを表すまばゆい白い光を自分が吐き出しているところを視覚化してもかまいません。
(ここで二分、間を置く)

 次に、私たちの知っているありとあらゆる人の中の善良さに心を向けましょう。私たちの知っている人は誰もが善人で、何かしら善良さをもっています。お望みなら、その善良さがほのかな白い光として彼らの体から放射されているところを視覚化してもかまいません。息を吸い込むときには、彼らの善良さをすべて心の中へ吸い込みます。…(これを繰り返す。)
(ここで二分、間を置く)

 最後に、世界のあらゆる人の中にある善良さに心を向けましょう。世界中のどんな人でも、少なくとも善良さのかけらぐらいはもっています。お望みなら、その善良さがほのかな白い光として彼らの体から放射されているところを視覚化してもかまいません。息を吸い込むときには、彼らの善良さをすべて心の中へ吸い込みます。
(ここで二分、間を置く)

 結び
 一分間、心を呼吸に集中しておしまいにしましょう。

出典:『Search Inside Yourself』 p296~298

脳が報酬・脅威として扱う5つの社会的経験を「SCARFモデル」と呼びます。

  • S:Status(地位)
  • C:Certainty(確実性)
  • A:Autonomy(自律性)
  • R:Relatedness(関係性)
  • F:Fairness(公平性)

この5つの要因をみんなのために巧みに利用することで、誰もが得をする状況を生み出し、自分の影響力を広げることができます。

影響力とそれが及ぶ範囲を拡大するため、次の4ステップからなります。

  1. 自分にはすでに影響力があることを知る
  2. 自信を深める
  3. 他人を理解して彼らが成長するのを助ける
  4. 他人の利益を超えるもののために尽くす

共感力・影響力はコミュニケーションには不可欠だがそれだけでも十分ではなく、隠れてしまっていることの多い会話に対する洞察が大事です。

9 世界平和への三つの簡単なステップ―SIYの裏話

瞑想によって、内面の平穏と幸せが思いやりとなって自然に現れてきます。

内面の幸せは伝染して、ポジティブな反応が増えていき、社会的な幸せの好循環が生まれ、世界平和の基礎となります。

世界平和への3つの簡単なステップは以下の通りです。

  1. 自分から始める
  2. 瞑想を科学の一分野にする
  3. 瞑想を実生活と整合させる

『Search Inside Yourself』を読んで今後勉強すべきこと

勉強

『Search Inside Yourself』では、マインドフルネスについて理解することができます。

本書の巻末には、本書以外にも本を読む時間があれば活用してほしい「推薦図書と参考映像」がまとめられています。

EQについてもっと知りたいならば、ダニエル・ゴールマンの『EQ こころの知能指数』が勧められています。

マインドフルネス・瞑想に関しては1冊しか読む時間がなければ、「今、ここを生きる」が勧められています。

また、参考映像としてYouTubeにてSIYの講演などがアップされているので、勉強に活用できます。

まとめ

『Search Inside Yourself』を書評・要約のようにまとまっていないかも知れませんがご紹介させていただきました。

マインドフルネス瞑想は数ある瞑想法の一部であるので、様々な瞑想法を試しながら、瞑想について学んでいきたいと思います。

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