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絵本で伝える農業土木の本質 岐阜大学「大西健夫教授」

絵本で伝える農業土木の本質 岐阜大学「大西健夫教授」
記事内に商品プロモーションを含みます。

「のうぎょうとぼく」では、農業土木の重要性・魅力を若い世代に伝えていく活動をしています。

その一環の1つで、農業土木の専門家である研究者・技術者にお話を伺い、WEB記事という形で情報発信をしております。

今回は、私の母校である岐阜大学応用生物科学部で、土や水の魅力を絵本という形で表現する珍しい試みをされた「大西健夫教授」に取材させていただきました。

岐阜大学応用生物科学部について

岐阜大学応用生物科学部は、生命科学や生物環境科学を基盤とした教育と研究を行い、食品・環境・健康・生物産業などの分野で活躍できる人材を育成する学部です。

実験やフィールドワークを重視したカリキュラムで実践的な学びができます。

令和7年4月に学科の再編がありし、4学科体制になりました。。

  • 応用生命化学科
  • 食農生命科学科
  • 生物圏環境学科
  • 共同獣医学科

生物圏環境学科の中で、農業土木を学ぶことができます。

生物圏環境学科

生物圏環境学科は、水・物質循環、生態系管理、動物保全を融合させた学科です。

岐阜大学キャンパス内の附属農場・美濃加茂農場・位山演習林などのフィールドを活用した実践的な実習や実験を行います。

  • 主な授業科目:生物圏環境学の実践的実習とデータサイエンス、水・物質循環・生態系を理解する科学、動物の生息域内・域外保全、生物多様性保全と生態系管理技術
  • 卒業後の進路:農業土木/環境コンサルタント・緑化造園業・動物園/水族館・農林水産省等の技術職

参照:岐阜大学応用生物科学部「デジタルパンフレット」より

大西健夫教授について

  • 所属:岐阜大学 応用生物科学部 流域管理学研究室 教授
  • 学位:博士(2004年3月 京都大学)
  • J-GLOBAL ID:200901094799494186
  • researchmap会員ID:1000258818
  • 基本情報:水文学的手法にもとづく, 流域の水・物質( 窒素, リン, 炭素,鉄など) 循環研究.
    森川海のつながりの中での農林水産業という視点を重視しています。

インタビュー内容

大西健夫 インタビュー

大西健夫教授が携わった『水のはなし』『土のはなし』を中心に据え、農業土木についてお話させていただきました。

『水のはなし』は令和2年度水文・水資源学会「学術出版賞」、『土のはなし』は、第33回読書感想画中央コンクールで低学年の部の指定図書に選定され、2022年度農業農村工学会賞「著作賞」を受賞しています。

約1時間半インタビューした内容を、ぎゅっとまとめました。

【大西健夫教授へのインタビュー内容】

  • 絵本制作のきっかけ
  • 1冊目『水のはなし』について
  • 2冊目『土のはなし』について
  • 絵本と農業土木の繋がり
  • 今後のアウトリーチ・研究について

絵本制作のきっかけ

おいも屋
おいも屋
絵本に携わるきっかけについて教えてください。
大西健夫教授
大西健夫教授
『くうきはどこに?』という翻訳本をやらしてもらったのが福音館書店の担当者との最初の繋がりです。そこから7年後に福島の原発事故を契機に、「水についてちゃんと発信しなくては」という担当者の思いから、声をかけていただきました。
おいも屋
おいも屋
一緒に文を書かれている龍澤彩さんとはどこで繋がりが?
大西健夫教授
大西健夫教授
うちの奥さんなんです。
おいも屋
おいも屋
それは素敵ですね。

1冊目『水のはなし』について

おいも屋
おいも屋
先生の専門である水文学がつまってますね。巻末の文も読み応えがありました。
大西健夫教授
大西健夫教授
巻末の解説文なんて誰も読まないと思ってましたが、見てくれる人がいて、高校の教科書(『現代の国語』(数研出版))にも採用してもらいました。

2冊目『土のはなし』について

おいも屋
おいも屋
水文学の専門なのに、なぜ土の絵本を出すことになったのですか?
大西健夫教授
大西健夫教授
水の水質を研究していると、その水質が形作られる大元が気になってきます。その大元をたどっていくと、流域の土壌・地質がすごく関与してます。特にアムール川の研究では湿地や水田とか、還元的な土壌環境が重要で、研究を通して土壌を知っていくことになりました
大西健夫教授
大西健夫教授
そのため、「水の次は土」というテーマ選定は自然な流れで。土壌学の専門家を差し置いて絵本を出すことに引け目もあったけど、先生方にもいろいろ意見を伺いながら、作り上げることができました。

おいも屋
おいも屋
絵本だから満遍なく土の話がされているけど、雨とか水の兼ね合いが出てきたりするのはとても先生らしさがつまってました。

大西健夫教授
大西健夫教授
ちょっとこだわりがあって。水がどうやって浸透していくのか、フィンガリング現象とか、こだわって絵を書いてもらったんです。

絵本と農業土木の繋がり

おいも屋
おいも屋
絵本と農業土木に深い繋がりを感じました。
大西健夫教授
大西健夫教授
農業土木は「水」と「土」に支えられた技術ですからね。
おいも屋
おいも屋
農業農村工学会誌も「水土の知」、全国土地改良事業団体連合会も「全国水土里ネット」と、水と土を謳っていますよね。

大西健夫教授
大西健夫教授
構造物をつくるとか水を効率的に輸送するとかそういう技術ではないけど、「人間活動が自然の物質循環をどう変えるか、良い方向に変えるにはどうすればよいか」という視点は広義の農業土木に含まれると考えてます。

おいも屋
おいも屋
農業土木を新しく解釈し直すと面白そうです

大西健夫教授
大西健夫教授
農業土木を広い意味で捉えることで、より多くの人に興味を持ってもらえる可能性があるのかな。

今後のアウトリーチ・研究について

おいも屋
おいも屋
絵本を通してアウトリーチ活動は増えましたか?
大西健夫教授
大西健夫教授
絵本をきっかけに読み聞かせなどのイベントが発生したので、絵本を窓口にアウトリーチが最近できるようになりました。
おいも屋
おいも屋
絵本を作ったり、イベントをしたりなど、この活動はずっと続けていきますか?
大西健夫教授
大西健夫教授
もう絵本は次を考えていて、第3弾は「川」で、第4弾は本丸の「鉄」の話を自分発信で持ち込みたいと思っているところです。
おいも屋
おいも屋
今注目している研究テーマはなんですか?
大西健夫教授
大西健夫教授
水田の多面的な役割の1つとして、水田の鉄生成機能を定量的に評価したい。棚田の物質循環から研究が始まっているから、農業土木の中で培ってきた水と土の知見を活かしながら、研究をやっていきたいと思っています。

まとめ

インタビュー 対談 機材 マイク ヘッドホン

岐阜大学応用生物科学部の大西健夫教授にお話を伺いました。

ご協力頂いた先生方・広報関係の皆様による多大なご尽力によって取材をさせていただきましたこと、厚く感謝申し上げます。

少しでも多くのコンテンツを作成し、農業土木を学ぶきっかけづくりをしていければと思います。

農業土木の一端に触れるきっかけとして、『水のはなし』『土のはなし』をぜひ読んでみてください。

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