滋賀県は疏水100選が4箇所あり、その中の1つに「犬上川沿岸疏水」があります。
犬上川沿岸疏水は、長い水争いの歴史から建設された「犬上川ダム」、その下流の「金屋頭首工」、さらに田んぼにつながる「一ノ井幹線送水路」から成る疏水です。
その中でも、滋賀県犬上郡多賀町にある「金屋頭首工」を実際に訪問してきましたので、どんな場所だったかを紹介します。
疏水百選とは
疏水百選とは、2006年に農林水産省と疏水百選実施事務局によって、疏水を維持し「水土里(みどり)」を次世代に伝えるために選定された、全国110箇所の疎水のことです。
「疏水百選」なのですが、全国から499の応募があり、国民投票・有識者意見を踏まえ、110の疏水が選定されています(全国土地改良事業国体連合会HP)
疎水は、利水のために作られた水路・構造物で、特に農業用のことです。
歴史的な構造物だけなく、親水性に優れ、観光的意味合いが強い水路・構造物が多く選定されています。
「金屋頭首工」について
「金屋頭首工」は、昭和8年に県営犬上川農業水利改良事業によって施工され、平成18年に県営かんがい排水事業により全面改修が図られた頭首工です。
頭首工とは、河川から農業用水を取水するため、河川を堰き止めて用水路へ河川水を流し込む施設の総称で、堰堤など用水路の初めが「頭」で水路への導入部を「首」と見立てて頭首工と呼ばれています。
金屋頭首工は、上流の犬上川ダムと一体となり「水田水源の確保」を担っています。
また、水環境整備事業・集落排水総合モデル事業・各集落のむらづくり事業など、住民主体による地域特性の「水」文化・伝統・歴史を活かしたむらづくり推進が取り組まれており、その成果が疏水百選に認定されるなどの評価を得ているのです。
(引用:農業農村工学会)
金屋頭首工の概要と諸元 | |
当初施工年度 | 昭和7〜8年度 |
改修年度 | 昭和27年・50年、平成18年 |
受益面積 | 約723ha |
取水量 | 左岸3.407m3/s 右岸0.683m3/s |
洪水吐施設 | 鋼製シェル構造ローラゲート B:21.5m、H:2.7m、2門 |
取水設備 | 左岸 鋼製スライドゲート B:2.0m 、H:1.2m、2門 右岸 鋼製スライドゲート B:1.0m、H:1.0m、1門 |
付帯施設 | アイスハーバー型魚道工 B:2.5 m |
(参照:農業農村工学会) |
地区への送水は自然圧方でのパイプライン式を採用しているので、取水が流下していく様は確認できないが、取水工の一部を確認することができる。
魚道が整備されている関係で、「金屋頭首工の上下流70mの範囲は水産動植物の捕獲禁止」が定められています(滋賀県漁業調整規則第42条)。
「金屋頭首工」へのアクセス
- 所在地:〒522-0337 滋賀県犬上郡多賀町富之尾地先
- 問い合わせ:滋賀県湖東地域振興局田園振興課 TEL:0749-27-2226
- 公共交通:湖国バス「楢崎」バス停から徒歩約3分
・タクシー:タクシーアプリ「GO」
・レンタカー:skyticketレンタカー
- 自動車:名神高速道路「湖東三山スマートIC」から車で約10分
駐車場について
左岸側に大きなスペースがあり、駐車できそうな場所があります。
しかし、「STOP」の文字の標識が道路側を向いています。
たぶん、「犬上川に入るな」ということだと思いますが、道路を向いておりますので、この場所の侵入を禁止している立て看板なのかもしれません。
右岸側に駐車できそうな場所があったので、そこに路駐する方が無難に感じましたので、こちらに駐車して観察しました。
まとめ
滋賀県の疏水百選の1つである「犬上川沿岸疏水」を形成する「金屋頭首工」を紹介しました。
「犬上川ダム」・「一ノ井幹線送水路」もぜひ紹介したいと思っています。
本記事で興味を持っていただけたら、ぜひ訪問してみてください。
また、滋賀県には他の疏水百選「愛知川用水」「野洲川流域」「湖北用水」もありますので、ご紹介したいと思っています。