岐阜県垂井町に、県指定史跡に指定されている「垂井の泉」があります。
岐阜県の名水50選にも選ばれ、清水が湧き出ている場所として名高い場所です。
この「垂井の泉」について、現地にも足を運んで調べてきましたので、ご紹介いたします。
垂井の泉について
「垂井の泉」は、岐阜県垂井町の「玉泉寺」「専精寺」にある、県指定の天然記念物であった大ケヤキの根本から、綺麗な清水が豊富に噴出しています。
歌枕としても知られ、藤原隆経が「詞花集」にて「昔見し たる井の水は かはらねど うつれる影ぞ 年をへにける」と詠んでおり、「垂井」の地名の起源です。
毎年7月にこの地で「垂井の泉まつり」が行われるなど、地域の人から慕われています。
「垂井之泉」の石碑の近くに井口があり、清水が噴出していることが確認できます。
県指定であった天然記念物「垂井の大ケヤキ」
「垂井の泉」のほとりに、県指定の天然記念物に指定されていた「垂井の大ケヤキ」はありました。
しかし2015年の台風18号の影響で地盤が緩み、2015年9月11日に根の一部を残した状態で倒木しました。
倒れた大ケヤキは、根元部分の一部を防腐等の加工をした上で、タルイピアセンターで展示されています。
当時の情報によると、垂井の大ケヤキは幹周り8.2m・樹高20mと、樹齢約800年で老衰していたとはいえ巨樹だったことがわかります。
1980年代後半より保存修理、2014年から岐阜県文化財審議会による保存整備の指導が始まっている中、倒木してしまったのは非常に残念です。
「垂井の泉」と詩歌の関わりについて
『続日本紀』天平12年(740)の条に見える「曳常泉」が、美濃行幸中の聖武天皇が立ち寄った「曳常泉」がこの場所であると考えられており、古くからの由緒があります。
芭蕉はこの泉を訪れており、「葱白く洗いあげたる寒さかな」という芭蕉の句碑が建てられています。
他にも、この泉についての詩歌は以下のものが挙げられます。
- 「我が袖の しづくにいかが くらべ見む まれにたる井の 水のすくなさ」:参議為相卿『夫木集』
- 「里人も くみてしらずや けふ爰に たる井の水の 深き恵みを」:飛鳥井雅世『富士紀行』
- 「むかし見し かげをしるべに またやわれ 思ふ垂井の 水をむすばむ」:堯孝法師『覧富士紀』
- 「あさはかに 心なかけそ 玉簾 たる井の水に 袖も濡れなむ」:一条兼良 / 『藤川記』
- 「小夜風の つもる木の葉の 下くぐる 水のたる井の うす氷かな」:真光院尊海『あづまの道の記』
岐阜県の名水50選について
環境庁が選定された名水以外の名水を多くの県民に紹介し、水環境への関心をたかめてもらおうと、「垂井の泉」は昭和61年に「岐阜県の名水50選」が選定されました。
名水の要件は以下の通りです。
- 清澄な水で、古くから生活とかかわりがあり地域で保全されている。
- 水量がある程度ある良質の水で、市町村等により保全されている。
- 優良な水資源として地域に保全されている。
- 古来より名水として伝承されている。
- 豊かな自然性、稀少性、特異性などを有している。
「優良な水環境を有し、その保全状況が極めて良好である」と看板にも評されていますが、現在の状況は少し違います。
なんと「垂井の泉」の池には、名水を汚染するような「鯉」が放流されています。
選定にあたりそのままで飲用可能かどうかという点については考慮していないですし、鯉の糞が堆積しているので、飲まないほうが良いです。
「垂井の泉」へのアクセス
- 所在地:503-2100 岐阜県不破郡垂井町垂井1351-1
- 問い合わせ先:タルイピアセンター Tel:0584-23-3746
- 公共交通:JR東海道本線「垂井駅」から徒歩約5分
- 自動車:東海環状自動車道大垣西ICから車で10分
・タクシー:タクシーアプリ「GO」
・レンタカー:skyticketレンタカー
駐車場
「垂井の泉」の近くに、駐車できるスペースはあります。
ですが、2〜3台が限界ですので、できれば公共交通機関で訪問したほうが良いかもしれません。
まとめ
「垂井の泉」についてまとめました。
垂井町には、伊吹山からの伏流水が豊富なため多くの湧水口が存在しています。
ぜひ、垂井町の他の湧水口を訪れてみてください。